IQが高い人ほど暴力に関わる可能性が引くなる
これまでの研究でも、IQの低さが犯罪行動全般と関連する可能性は指摘されてきました。
ただ、「万引きや詐欺も含めた犯罪全体」と「他者に対する直接の暴力」とでは性質が違います。
殴る・蹴るといった身体的な暴力とIQの関係だけに絞って、世界中の研究をまとめて検証した例はほとんどありませんでした。
そこで研究チームは、「暴力をふるう人は本当にIQが低いのか」「もしそうなら、それは単なる背景要因ではなく、暴力行動に関わる重要な要素なのか」という点を確かめることを目的としました。
研究者たちはまず、PubMedやScopusなどの主要な科学データベースを使って関連論文を徹底的に検索しました。
その結果、最初に5,000本以上の論文が見つかりました。
その中で重複を除き、暴力とIQの両方をきちんと測定しているかどうかなどの基準でふるいにかけ、最終的に131本の実証研究を対象にしました。
分析は大きく二つのパートに分かれています。
一つ目は、暴力行為を行った人とそうでない人のIQを直接比べる分析です。
ここでは、暴力行為のある人1,860人と、暴力行為のない人3,888人のIQが比較されました。
二つ目は、IQと攻撃性・暴力傾向がどのくらい一緒に増減するかという「関係性」を調べる分析です。
こちらは合計33,118人分のデータが統合されました。
対象となった行動には、殴る・蹴るといった暴力だけでなく、怒りをうまくコントロールできない行動や、周りに向けて問題行動を繰り返すタイプの行動も含まれていました。
またIQは、全体的な知能を示す「総合IQ」に加えて、言葉の理解や語彙力を示す「言語性IQ」、図形やパターンから法則を見つける力などを示す「非言語性IQ」に分けて分析されました。
その結果、暴力行為を行った人は、行っていない人に比べて総合IQが有意に低いことが分かりました。
さらに、言語性IQと非言語性IQの両方でも、同じように暴力群の方が低い傾向が見られました。
また、IQと暴力傾向の間には、一貫して「IQが低いほど暴力に関わる可能性が少し高くなる」という関係が確認されました。
より細かい結果の違いや、その背景にあるメカニズムについては、次項で詳しく見ていきます。






























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