タウリンを摂取すると人間でも老化防止に役立つ?
研究チームは、人間とタウリンの関係性も調査しています。
例えば、60歳以上のヨーロッパの成人1万2000人を対象にした調査では、血中のタウリンレベルと約50の健康パラメータとの関係が分析されました。
その結果、全体としてタウリンレベルが高い人はより健康であり、肥満・高血圧のレベルが低く、2型糖尿病の症例が少ないと判明しました。
もちろんヤダブ氏が述べるように、「これらは因果関係を立証するものではありません」が、「タウリンの欠乏が老化に寄与している可能性はある」と言えます。
別の研究では、激しい運動後に血中のタウリンレベルが上昇することも分かりました。
ではこれらの結果から、人間がタウリンを摂取し続けることで、マウスやサルのように健康が改善したり、寿命が延びたりすると言えるのでしょうか?
研究チームは、「ヒトへの効果は臨床試験で検証するまで不明」だと述べています。
タウリンに老化を遅らせる効果があるのか、またそうであればどれくらいの量を摂取すべきかを判断するには、もっと多くの研究が必要なのです。
そしてヤダブ氏は、「老化防止目的でタウリンを大量摂取しない」よう警告しています。
現在研究で判明しているのは、先に述べた通り統計的な結果に留まっており、そのメカニズムやタウリンと老化防止との因果関係などは明らかになっていません。
日本では栄養ドリンクによって簡単にタウリンを摂取できますが、現在の結果だけを根拠に「老化防止のために毎日飲む」などの行為に走るべきではないのです。
確かにヤダブ氏が述べるように、タウリンには「人間がより長く、より健康に生きるための万能薬」となる可能性が秘められています。
しかしその効果を期待して利用するのは、きちんと医学的に原理が理解されてからにするべきでしょう。