タウリンはマウスの寿命を延ばし、サルの健康を改善する
まずチームは、マウス、サル、人間の血中タウリン濃度を調べました。
その結果、体内のタウリンの量は年齢と共に大幅に減少すると判明。
人間の場合、60歳のタウリンレベルは、5歳児のタウリンレベルの約3分の1でした。
次にヤダブ氏は、タウリンの欠乏が老化プロセスの原因かを検討するため、大規模なマウス実験を行うことにしました。
チームは、250匹近くの生後14カ月のオスとメスのマウス(人間の年齢に換算すると約45歳)を用いて、タウリンがもたらす影響を調べたのです。
彼らは1日1回、半数のマウスにだけタウリンを与え続け、それをマウスの寿命が尽きるまで続けました。
その結果、タウリンを与えたマウスは、タウリンを与えなかったマウスよりも長く生存できました。
彼らの平均寿命は、オスで10%、メスで12%も延長したのです。
これはマウスが3~4カ月長生きしたことを意味し、人間に換算すると約7~8年に相当します。
また線虫を用いた実験でも、タウリンを投与することで、線虫の寿命が10~23%も延びたようです。
さらに研究チームは、タウリンがマウスの健康にどのような影響を与えるか調査しました。
様々な健康パラメータが測定されましたが、1年間タウリンを与えられたマウスは2歳(人間換算で60歳)の時点で、タウリンを与えられなかったマウスと比べて、ほぼすべてのパラメータでより健康的でした。
しかもタウリンには加齢に伴う体重増加を抑制し、エネルギー消費量や骨量を増加させ、筋力を改善する効果もあったようです。
そしてアカゲザル(学名:Macaca mulatta)を用いた6カ月の実験では、タウリンが中年のサル6頭に毎日投与されました。
その結果、それらのサルは、タウリンが与えられなかった5頭のサルと比較して、より健康な肝臓を持ち、体重増加が抑えられ、骨密度が高く、免疫系の健康も改善されました。
研究チームは、これら一連の研究により、タウリンが線虫とマウスの寿命を延ばし、マウスとサルの健康状態を向上させることを示したのです。