月面を舗装するプロジェクト。イメージ
月面を舗装するプロジェクト。イメージ / Credit:PAVER consortium/LIQUIFER Systems Group_How to make roads on the Moon(2023)
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収束させた太陽光でレゴリスを溶かし月面に道路を建設するプロジェクト (3/3)

2023.10.13 Friday

前ページレーザーで「月レゴリス模倣物」を加熱し、タイルを作ることに成功

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「月の道路建設プロジェクト」の研究は始まったばかり

の道路」を現実のものにするためには、多くの課題に取り組まなければいけません。

厚さ1.8cmの融解層
厚さ1.8cmの融解層 / Credit:PAVER Consortium_How to make roads on the Moon(2023)

例えば、タイル表面のガラス層は、強い熱衝撃(ロケット打ち上げなど)によって破損する恐れがあります。

ガラスの破片は宇宙ミッションのリスクになるため、今後は耐熱衝撃性を研究する必要があるでしょう。

また今のところ、タイルを作るためには膨大な時間がかかります。

実際、小さなタイルを作るだけでも約1時間かかっており、10m×10mの着陸パッド(厚さ2cm)を作るためには115日かかるようです。

タイルを組み合わせて道路や着陸パッドを作る
タイルを組み合わせて道路や着陸パッドを作る / Credit:PAVER Consortium_How to make roads on the Moon(2023)

ただこれは、実験のように小さなレーザーを照射した場合の話です。

実際に月面で本物のレゴリスを加熱するために、研究チームは月に降り注ぐ太陽光を収束させる方法を検討しています。

これは宇宙空間に巨大な集光器を設置し、太陽光を集めて目的のポイントを加熱されるという方法です。これは理科の実験で行った虫眼鏡で紙を焦がすのと似た原理です。

この方法で太陽光を集めれば実験で用いたレーザーと同レベルの強度の熱が得られ、月面で発電してレーザーを照射させるなどの手間がなくなります。

ただしそのためには、直径約2mの巨大なレンズが必要となり、これを宇宙まで運ばなければいけません。

しかも砂塵が舞い上がってしまうと上手く機能しなくなるため、この課題にも取り組む必要があります。

遠い将来、月面に道路が建設されるかも
遠い将来、月面に道路が建設されるかも / Credit:PAVER consortium/LIQUIFER Systems Group_How to make roads on the Moon(2023)

「月の表面を加熱して固める」という今回の研究は、まだ初期段階にあるため、今後も多くの実験を重ねていく必要があるでしょう。

それでも、現段階でいくらかの成果は出ており、今後の進展にも期待できます。

遠い将来、月には滑らかでまっすぐな道路が敷かれているのかもしれません。

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