「月の道路建設プロジェクト」の研究は始まったばかり
「月の道路」を現実のものにするためには、多くの課題に取り組まなければいけません。
例えば、タイル表面のガラス層は、強い熱衝撃(ロケット打ち上げなど)によって破損する恐れがあります。
ガラスの破片は宇宙ミッションのリスクになるため、今後は耐熱衝撃性を研究する必要があるでしょう。
また今のところ、タイルを作るためには膨大な時間がかかります。
実際、小さなタイルを作るだけでも約1時間かかっており、10m×10mの着陸パッド(厚さ2cm)を作るためには115日かかるようです。
ただこれは、実験のように小さなレーザーを照射した場合の話です。
実際に月面で本物のレゴリスを加熱するために、研究チームは月に降り注ぐ太陽光を収束させる方法を検討しています。
これは宇宙空間に巨大な集光器を設置し、太陽光を集めて目的のポイントを加熱されるという方法です。これは理科の実験で行った虫眼鏡で紙を焦がすのと似た原理です。
この方法で太陽光を集めれば実験で用いたレーザーと同レベルの強度の熱が得られ、月面で発電してレーザーを照射させるなどの手間がなくなります。
ただしそのためには、直径約2mの巨大なレンズが必要となり、これを宇宙まで運ばなければいけません。
しかも砂塵が舞い上がってしまうと上手く機能しなくなるため、この課題にも取り組む必要があります。
「月の表面を加熱して固める」という今回の研究は、まだ初期段階にあるため、今後も多くの実験を重ねていく必要があるでしょう。
それでも、現段階でいくらかの成果は出ており、今後の進展にも期待できます。
遠い将来、月には滑らかでまっすぐな道路が敷かれているのかもしれません。