脳の衰えは「ワサビ」で止められる?
どんな人であれ、寄る年波には逆らえません。
加齢とともに記憶力や認知機能は低下し、日常生活に支障をきたすことになります。
知り合いの名前がわからなくなったり、財布や携帯の置き場所を忘れてしまったりと、加齢にまつわる悩みは尽きません。
そんな中、記憶力や認知機能の衰えを抑制する簡単な方法として注目されるのが「食物の摂取」です。
特に以前の研究では、香辛料や香草が認知機能にプラスの効果を与えることが分かっており、例えば、ショウガやニンニクの摂取は、認知症の有無に関わらず、高齢者の認知機能を改善できることが示されています。
そこで東北大学の研究チームは今回、日本人に馴染み深い香辛料である「ワサビ」に同様の効果が見られるかどうかを検証しました。
ワサビは日本原産のスーパーフード
ワサビ(学名: Eutrema japonicum)は、日本を原産とするアブラナ科ワサビ属の植物です。
日本で栽培・利用される品種は「本ワサビ」と呼ばれ、加工品を含めてセイヨウワサビ(ホースラディッシュ)とは区別されています。
ワサビの根茎には鼻にツンとくる刺激性の香味があるため、日本では薬味や調味料として古くから親しまれてきました。
また食欲増進作用のほかに抗菌作用もあるため、傷みやすいお寿司には欠かせない存在となっています。
それだけではありません。
ワサビには「ヘキサラファン(6-MSITC)」と呼ばれる成分が含まれているのですが、これが抗炎症作用や抗酸化作用を持っているのです。
記憶力や認知機能の衰えは、加齢による脳内の炎症や老化を促進する酸化物質の蓄積が原因の一つとされているため、抗炎症作用や抗酸化作用は脳の健康を維持する上で重要な役割を果たします。
実際、中年成人を対象とした先行研究では、ワサビが脳を落ち着かせて認知機能の改善に役立つことが示唆されていました。
その一方で、脳の衰えが目立ち始める60歳以上の人では、ワサビの効能が調べられていませんでした。
そこで本研究では、ワサビの摂取により、60歳以上の人の記憶力と認知機能が向上するかを実験しています。