運動で得られる健康効果に性差はある?
日頃の身体活動量が多いほど、心血管疾患を含む様々な病気での死亡率が低下することはよく知られています。
その一方で、習慣的な運動量は女性より男性の方が多い傾向が世界的に見られ、このジェンダーギャップは幼少期から始まり成人期を通して生涯続くことが指摘されてきました。
しかしながら、こうした運動量の差が男女間の寿命に影響しているようには見えません。
むしろ平均寿命に関しては男性より女性の方が長くなる傾向があります。
そこで研究チームは今回、男女が同じ健康効果を得る上で、必要な運動時間に違いがあるのかどうかを調べてみました。
本研究では、アメリカ市民を対象に収集される「ナショナル・ヘルス・インタビュー・サーベイ(NHIS)」を利用し、成人男女41万2413人(年齢27〜61歳、男性45%、女性55%)の健康データを分析しています。
各被験者のデータは1997年〜2019年まで追跡され、2019年12月末までに3万9935人が亡くなっており、そのうち1万1670人が心血管疾患を死亡原因としていました。
被験者は期間中、日頃の運動習慣に関する質問を受け、どんな運動をどれくらいの頻度で行っているかを回答しています。
運動の内容としては、ウォーキングやランニング、エアロバイクといった有酸素運動のほか、自重トレーニングおよびマシンを使った筋力トレーニングなどの無酸素運動が多くが見られました。
チームはこのデータを踏まえ、男女ごとの週の運動時間および運動内容と、心血管疾患による死亡率および総合的な死亡率の関連性を分析しています。