人生後半の健康は「中年期の生活」にかかっている?
70代になっても元気に歩き回れたり、趣味や旅行を楽しめたりする人がいる一方で、慢性的な病気に悩まされ、思うように動けない人もいます。
この違いは一体どこから来るのでしょうか。
実は「健康的な老後」を定義する際、近年は単に病気がないというだけでなく、認知機能や身体機能、精神的な健康が保たれているかどうかが重視されるようになっています。
世界保健機関(WHO)も2020年に発表したレポートで、年齢に応じた身体能力や生活の質を保つ「機能的能力(functional ability)」の維持を、健康的加齢(健康的に年を取ること)の中心的な指標としています。

しかし、こうした能力は突然70歳を迎えたときに備わっているものではありません。
その土台は、もっと若い頃、つまり中年期(40歳〜60代前半)にどう過ごしたかに大きく依存していると考えられています。
その中でも特に、食生活は非常に重要です。
これまでにも野菜や果物が多い食生活や、いわゆる「地中海食」が心臓病や糖尿病、認知症のリスクを下げることは知られていました。
とはいえ、具体的にどのような食生活が「老後の健康全体」に関係しているのかを、30年という長期スパンで追った研究は極めて限られていました。
そこで研究チームは「中年期の食事パターン」が70代以降の身体・認知・精神・疾患リスクにどう関係しているかを長期にわたって検証しました。