世界初のマイクロコンピュータ「Q1」
1960年代や1970年代、当時コンピュータといえば、研究室や企業が所有する巨大な装置でした。
「メインフレーム」「ミニコンピュータ」という名称のそれらコンピュータは、一室を占有したり、壁一面にそびえ立っていたりするような代物だったのです。
当然、それら巨大なコンピュータは非常に高価であり、個人が所有することはありませんでした。
しかしこの時期には、マイクロプロセッサ(演算・制御などの機能を1つの半導体チップに集積したもの)も開発され、大きな変化が生じることになりました。
CPUとしてマイクロプロセッサを使用したコンピュータである「マイクロコンピュータ」が登場することになったのです。
このマイクロコンピュータは、当時の巨大なコンピュータと比べるとスペックがはるかに劣るものの、物理的にコンパクトでした。
ちなみに、世界初のマイクロプロセッサは、「Intel 4004」であり、日本のビジコン社とアメリカのインテルの共同開発により、1971年に出荷されています。
そして1972年には、同じく初期のマイクロプロセッサの1つである「Intel 8008」が開発製造されました。
このIntel 8008をCPUに使ったマイクロコンピュータ「Altair8800」は、1974年12月に販売されており、一般消費者向けに販売された初期の個人用コンピュータとして多くの人に知られるようになりました。
では、Altair8800が世界初のマイクロコンピュータだったのでしょうか。
そうではないようです。
アメリカの「Q1 Corporation」社は、マイクロプロセッサ「Intel 8008」がリリースされてからわずか8カ月後の1972年12月に、Intel 8008を搭載したマイクロコンピュータ「Q1」を販売したのです。
当時のマイクロコンピュータには無名のものも数多く存在し、様々な主張が飛び交っています。
そのため諸説あるものの、このQ1は、「世界初のマイクロコンピュータ」と呼ばれることがあります。