清掃業者が希少なコンピュータ「Q1」をロンドンの家屋で発見する
1972年に販売されたマイクロコンピュータ「Q1」は、スクリーンとキーボードが装備されたスタンドアローンのコンピュータであり、そのスタイルは、現代のPCとさほど変わりません。
メモリはわずか16KB、最大クロックは800kHzであり、そのパフォーマンスは現代のPCと比べるとはるかに小さいものでした。
そしてこれを開発したQ1 Corporationは1974年に買収されており、Q1の存在を知っている人はあまり多くありません。
特にイギリスにはアメリカから数台しか輸入されておらず、イギリスにおいてQ1は「無名なマシン」の1つでした。
だからこそ、2024年2月14~17日に一般公開されたキングストン大学の展示会「Creating the Everything Device」で、最古のマイクロコンピュータQ1が2台展示されたことは、その存在を知る数少ない人々にとって衝撃的でした。
しかも、この貴重なマシンは、清掃業者によって発見されたというから驚きです。
ロンドンの清掃・廃棄物処理の会社「ジャストクリア」のスタッフが、ロンドンのある家屋を片付けていたところ、積み上げられた古い箱の中から、2台のQ1を発見したのです。
今回の展示会に関わるコンピュータの専門家ポール・ニーブ氏は、これら初期のマイクロコンピュータを開発したQ1 Corporationや他の会社の名を挙げ、「それらが無ければPCもMacも、Appleも、Androidスマートフォンも存在しなかったでしょう」と述べています。
確かに、その後のコンピュータ技術の進展は凄まじいものでした。
特にコンピュータの小型化によって、その進展は私たちの目に明らかになってきました。
1980年代には、「個人で使用するコンピュータ」という意味が込められた「パーソナルコンピュータ(PC)」の名称が一般化し、オフィスや個人で広く用いられるようになりました。
そして1989年には、持ち運び可能なサイズのパソコン「ノートパソコン」が販売されるようになっています。
また2000年代には「タブレットPC」が誕生。
さらに、PC並みの機能を持たせた携帯電話である「スマートフォン」は、iPhone(2007年発売)やAndroid端末(2008年発売)によって世界的に広く普及していきました。
現代では、さらにその先を進んでおり、コンピュータは私たちの生活に欠かせないものとなっています。
だからこそ、今のPCの原型となった「世界初のマイクロコンピュータ」は、私たちにとって興味深いものです。
そして今回の発見のように、まだ世界のどこかには、希少なマイクロコンピュータが眠ったままになっているかもしれません。