「仲間の死を嘆く」ような行動を取る動物たち
人間には、はるか昔から「亡くなった人を埋葬する」習慣があります。
これには、死を理解すること、死を嘆き悲しむこと、死後を考えること(多くの場合、宗教的な背景に基づく)、また衛生面での理解などが関わってきます。
これらの思考には高い知的能力が必要なため、埋葬の習慣が広く見られるのは主に人間だけです。
では動物たちは、仲間の死に対して何も感じないのでしょうか。
これまでの研究や観察によると、様々な動物たちが、「仲間の死を悲しむような行動を取る」ことが分かっています。
例えば、自分の家族を亡くしたイヌは、健康体にも関わらず、エサを食べなくなったり、遊ばなくなったりすると報告されています。
また、あるメスのシャチは、死んでしまった子シャチを17日間も押しながら泳ぎました。
確かにこうした動物たちの行動は、仲間の死にショックを受けたり悲しんでいるように見えます。
しかし、これらは仲間の死に反応はしているものの、人間が行う葬儀のような死者を弔う行動とは異なります。
これに対してゾウ達は、仲間の死にかなり印象的な行動を見せます。
例えばアフリカゾウ(学名:Loxodonta africana)は、亡くなった家族の顎の骨を持ち歩いたり、死体の近くに集まって長時間沈黙したりします。
またアジアゾウ(学名:Elephas maximus)も、死体の周りを飾るように枝や木、葉を集めたり、死体の周りを歩き回ったりするようです。
これらゾウの行動は、人間の葬儀や死者を悼む行為との類似点を感じさせます。
そして最近、カスワン氏ら研究チームによって、さらに興味深いゾウの行動が報告されました。