10代で思いついたガロア理論
エヴァリスト・ガロアはフランスの数学者で、10代の若さでなくなりながら、未だに世界に影響を及ぼすガロア理論の提唱者です。
この彼の考え出したガロア理論とは、方程式の性質調べるための理論です。
こんな数式を覚えているでしょうか? これはおそらく多くの人が高校生のとき覚えるのに苦労したと思われる、2次方程式の解の公式です。
苦しんだとはいえ、方程式の解がこうした公式で必ず得られるというのはかなり驚くべきです。
ただ解の公式は3次以上の方程式になると、恐ろしいほど複雑な式になります。そのため19世紀になるまで4次方程式までしか解の公式は見つかっていませんでした。(これらの公式は貼ると頭が痛くなる人がいるかもしれないので気になる人は横のリンクを開いてください→4次方程式の解の公式)
とはいえ当時の数学者たちは、5次以上方程式にも解の公式はあるはずだと考えていました。
しかし、先に結論を述べてしまえば5次以上の方程式に解の公式は存在しません。そして、それを証明したのがガロア理論なのです。
ガロアはそんな方程式の検証をするために、ある性質の数ごとにグループを作り、そのグループごとの対称性を調べるという方法を使いました。
対称性という言葉を、私たちは普段、左右が同じ形というような意味で使っています。しかし数学における対称性はそれとは少し違う意味を持っています。
数学でいう「対称性」とは、「ある変換をしても変化が生じない性質」を意味します。
例えば監視カメラで、テーブルに置かれた食器を真上から監視しているとしましょう。
この中央の丸いお皿を、あなたが目を離した隙に誰かが回転させた場合、あなたはその事実に気づくことはできるでしょうか?
おそらく無理でしょう。なぜなら円は回転させても何も変化が起きないからです。けれどその横にあるフォークやナイフなら反対向きにされればすぐに気が付きます。
この場合数学では、円は回転という変換に対して極めて高い対称性を持つ、と表現されます。もしこれが正方形のお皿だったら、90度の回転に対しては対称性を持つことになります。
ガロアはこの図形(幾何学)における対称性の問題を、数に当てはめてグループを作り、これが変換を施して変化するかしないかを見ていくことで、解ける方程式と解けない方程式の性質を調べたのです。
これが恐ろしくざっくりしたガロア理論の説明です。
フェルマーの最終定理の証明においても、楕円曲線とモジュラーという2つの方程式を比べる際にガロア理論が用いられています。
彼の理論の内容を理解するにはかなり多くの知識が必要です。そのため一般の人には何を言っているのかさっぱりわからないでしょう。
そのため一般にはあまりなの知られていないガロアですが、彼の生涯は伝記として聞く価値があるものです。
天才だが説明は下手だったガロア
ガロアは数学の天才でしたが、どうも自分の考えを説明することは下手だったようです。
それは彼の数学に関する考え方が先進的すぎて、ほとんどの人に理解できなかったことも原因があったのでしょう。
志望学校の口頭試験では、面接官に回答を理解してもらえず、キレて黒板消しを投げつけて落第したと言われ、第一線の数学者に送った論文は説明がよくわからないと突っ返されてしまったといいます。
残念なことに彼は生前正しく評価してもうことは出来なかったのです。