Y染色体上で失われた遺伝子は何でしょう
ヒトは総計で2万の遺伝子を持っています。X染色体は人の生存に必要なDNAのうちおよそ5%を持っています。一方Y染色体は2%以下です。X染色体がなければ人は死んでしまうことは明白ですが、X染色体上の遺伝子で重要なのはどの遺伝子でしょうか。
X染色体はDMDとして知られる遺伝子を持っています。この遺伝子はジストロフィンと呼ばれるタンパク質の情報を持っています。ジストロフィンは骨格筋や心筋の形成に必要です。筋肉を強くし、損傷を防ぐ働きがあります。それに加えて、少量ですが脳神経にも存在しています。
他の重要な遺伝子はCYBB遺伝子です。この遺伝子はシトクロムb-245というタンパク質の構造をコードしています。このタンパク質はNADPHオキシダーゼと呼ばれる免疫系に不可欠な酵素の形成に必須です。
これらはY染色体から失われた多くの遺伝子の中のたった2つにすぎません。しかしそれだけでも十分明白なのは、これらの遺伝子がなかった場合人間が生き延びることは不可能であるため、すべての人が少なくとも1つのX染色体が必要だということです。Y染色体にはこれらの遺伝子が現在欠落していますが、人の通常の生存に必要な遺伝子を持っていた時期もかつてありました。不幸にも、3億年の進化の過程で、ほぼ95%もの遺伝子をなくしてしまったのです。
そのお話は、いずれまた他の機会に。
via: Science ABC/ translated & text by SENPAI
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