超音波を使って水出しコーヒーを3分で作ることに成功
同じ「冷たいコーヒー」でも、作り方には違いがあります。
アイスコーヒーは、お湯で抽出したドリップコーヒーを氷で冷やしたものです。
一方、コールドブリュー(水出しコーヒー)は、水で低温抽出したコーヒーであり、抽出には12時間ほどかかります。
お店によっては24時間かけてじっくりと抽出する場合もあるでしょう。
コールドブリューでは、このように低温でじっくりと抽出することで、苦みや渋み成分が溶け出しにくく、まろやかな味わいが得られます。
そのためアイスコーヒーよりもコールドブリューを好む人は多いですが、いつでも簡単に飲めるわけでありません。
この度、トルヒーリョ氏ら研究チームは、香りや味を犠牲にすることなく、3分でコールドブリューを作る方法を開発しました。
その方法とは、「超音波を用いる」というもの。
彼らは、既存のエスプレッソマシンと特許取得済みの独自の超音波システムを組み合わせました。
エスプレッソマシンのポルタフィルター(コーヒー粉を入れる部品)に38.8kHzの音波を当てることで、コールドブリューのプロセスを加速させることができ、熱いエスプレッソを作るのとほぼ同じ時間で、コーヒーから風味や香りを抽出することができるのです。
トルヒーリョ氏は、そのプロセスについて、「超音波キャビテーションにより抽出プロセスが加速される」と説明しています。
キャビテーションとは、小さな気泡がたくさんできる状態のことであり、超音波キャビテーションでは、液体に超音波を当てることで真空の気泡が生じ、それらが破裂する際の衝撃が利用されます。
この超音波キャビテーションは、メガネ洗浄機などにも利用されています。
そして新しいコールドブリュー作成のプロセスでは、コーヒー粉に気泡が破裂した時の衝撃を与え、それらを粉砕にし、コーヒーの香りや風味の抽出を強化しています。
これにより本来であれば12~24時間かかる抽出が3分で済みました。
さらに味覚テストにおいては、この3分で作られたコールドブリューが、従来のコールドブリューやエスプレッソと非常に似た味わいであることも証明されました。
ちなみにこの抽出技術は、お茶の抽出をスピードアップするためにも使用できるようで、トルヒーリョ氏は、「この技術を開発できたことに、たいへん興奮しています」と語っています。
今後、この技術が普及するなら、企業だけでなく自宅において、たった3分で超音波コールドブリューを楽しめるようになるでしょう。