子供は基本的に「ロボット」の方を信頼する!
3つのグループごとの結果を見てみると、当たり前ですが最初の見慣れたものへのラベル付で、正しい回答をした方を子供たちは信頼する傾向がありました。
つまり、ロボットが間違った名前を答える動画を見た後だと、子供たちは2つ目の意味不明な物体に名前を付ける動画では、大人の答えた名前が正しいと考えました。
逆に最初の動画で大人が間違った名前を答えていると、2つ目の動画では、ロボットの言うことが信頼できると答えています。
しかし問題は3つ目のグループ「大人とロボットどちらも正しい名前を答える」の場合でした。
とても興味深いことに、この場合子供たちは、2つ目の意味不明な物体の名前を答える動画で「大人よりロボットの方が信頼できる」と答えていたのです。
それに加えて、最後に聞いたどちらを先生や友達にしたいか? という質問では、子供たちはロボットの方が良いと答えたのです。
つまり子供たちは全体的に、大人よりロボットを友達や先生にしたいと思っていたのです。
今回の実験だけでは、なぜこのような結果に偏るのかは正確には判断できません。
ただ実験を見る限り、子供たちは嘘を言う方が信頼できないときちんと判断しています。そのため同条件だと、大人よりロボットを信頼するという今回の結果は、子供たちが普段の生活の中で「大人は間違ったり嘘を言う」と感じいてる可能性が考えられます。
確かに、子供の相手をするときに私たちは適当にあしらったり、答えにくい質問に嘘を言ってしまうことがあります。3歳頃になると子供たちもそれを敏感に感じ取って「大人はあてにならないな」と考え出すのかもしれません。
しかし、この実験結果は、6歳の年長児に近づくほど大人を好む傾向が有意に強くなったといいます。
つまりこの年齢になってくると、ロボットよりは人間の方が信頼性が高いという感覚が身についてくるのだと考えられます。
年齢的な問題を考慮すると、1~3歳の子供は、大人の言うことをはねつけ自分の意見を通そうと考え出すイヤイヤ期という段階にあるため、これも関係している可能性があるでしょう。
また子供は人間とそうでないものの違いに対して先入観を持たないため、大人への不信感から人間以外を信じてしまうということがあるのかもしれません。
童話などでよく描かれる、子供が怪物にそそのかされて悪いことをしてしまうという展開も、こうして見ると間違っていないのかもしれません。
いずれにせよ今回の知見からは、教育現場へ「ロボット先生」を導入すると子供たちの学習効果が高まるなど、ポジティブな可能性を示唆できると研究者は語っています。