ダイヤモンドの雨が降る
天王星の内部は超高圧のため、その高い圧力によってメタンから作られたダイヤモンドの雨が降っているかもしれません。
天王星は「氷の惑星」と呼ばれていますが、実は内部は水素や炭素を含む高密度の液体の「海」になっています。
この液体は数千度の高温かつ地球大気の数百万倍もの超高圧状態にあります。この圧力は、地球の中心部の圧力の約4倍に相当します。
このような極限環境下では、水素と炭素が圧縮されてダイヤモンドになると考えられています。つまり、天王星の内部ではダイヤモンドの「雨」が降っているという仮説があるのです。海の中でできたダイヤモンドは重いので中心部に沈んでいきます。この様子をダイヤモンドの「雨」と表現しています。
この仮説を実証するため、研究者らはX線自由電子レーザーを使って天王星内部の環境を再現する実験を行いました。
この実験では、ポリスチレンというプラスチック材料に高出力のレーザーを照射することで天王星内部の環境を再現しています。ポリスチレンは炭素と水素が鎖状につながってできた物質(炭化水素)です。メタンは天王星内部の高温・高圧下ではこのような鎖状の炭化水素を形成していると考えられています。
レーザーによる衝撃波によって瞬間的に超高圧の状態を実現することができます。
その結果、プラスチック材料の炭素原子同士の結合方法が変化し、ダイヤモンドの結晶構造を形成することが確認されました。
つまり、天王星内部の超高温・超高圧下では、メタン(水素と炭素の化合物)から作られたダイヤモンドの雨が実際に降っている可能性が高いと考えられています。