望遠鏡で発見された最初の惑星
天王星は望遠鏡を使って初めて発見された惑星です。
地球以外の惑星のうち、水星、金星、火星、木星、土星は昔から知られていました。これらの惑星は夜空に明るく光っていて、肉眼でもよく見えます。
天王星の明るさは約6等級なので、かろうじて肉眼で見える程度の明るさしかありません。このような暗い天王星は、どのようにして発見されたのでしょう?
天王星は、1781年にイギリスのアマチュア天文家ウィリアム・ハーシェルによって発見されました。
ハーシェルは、銀河系の構造を解明するために、自作の反射望遠鏡で「掃天観測」に挑戦していました。掃天観測とは、全天にわたって星の分布を詳細に観測することです。
そのときに、普通の恒星と違う動きをする天体を見つけました。この星は他の恒星に対してほんの少しずつ動いていました。
ハーシェルは当初はこの星を彗星だと思っていたようです。おそらくぼんやりとした淡い像に見えたのでしょう。
その後の計算で、ハーシェルの発見した新天体はほぼ円に近い軌道を約84年の周期でめぐる惑星であることが分かりました。
当時の知識では、土星が最も遠い惑星だと考えられていたので、土星の外側をまわる惑星の発見は人々を大いに驚かせました。
天王星の大きさは太陽系の惑星の中で3番目で、直径は地球の4倍です。しかし、太陽から28億7500万Km(太陽‐地球間の約19倍)も離れたところにあるので、地上の望遠鏡ではそれほど大きく見えないのです。
天王星は木星や土星と同じように水素とヘリウムを多く含むガス惑星のため、木星型惑星に分類されています。一方で、内部に岩石を含む氷の大きな中心核があることから、海王星とともに巨大氷惑星に分類されます。
天王星を望遠鏡で見ると、淡い青緑色に見えます。これは、天王星の大気に含まれているメタンが赤い色を吸収するためです。
天王星の大気は主に水素とヘリウムで構成されていますが、数%のメタン(CH4)も含まれています。 このメタンには、可視光の中でも特に赤色の光を強く吸収するという性質があります。
メタンが赤色光を吸収することにより、残った青緑色の光が反射されるので、天王星は淡い青緑色に見えるのです。
同様に、海王星の表面も大気中のメタンが赤色光を吸収することで青色に見えます。一方、木星や土星もメタンを含んでいますが、大気の主成分が水素とヘリウムであり、メタンの割合が少なくアンモニアなど他の化合物の割合が多いため褐色や黄色に見えます。
興味深いことに、天王星の色は公転周期(約84年)に伴って徐々に変化することがわかっています。天王星が夏至や冬至の時期には緑色が強まり、春分や秋分の時期には青色が強まる傾向があるのです。
この色の変化は、天王星の自転軸が公転面に対してほぼ横倒しになっていることと関係があります。自転軸の傾きにより、極地方と赤道付近では受ける太陽光の量が大きく異なり、それが大気の対流や雲の状態に影響を与えていると考えられています。
このように、天王星の淡い青緑色は大気中のメタンによるものですが、その色合いは天王星の公転周期に伴って微妙に変化するのです。