鋸歯に「鉄のコーティング」が施されていた!
チームは高度なイメージング(画像化)技術と化学分析の手法を用いて、博物館に保管されているコモドドラゴンの歯や頭蓋骨を分析しました。
それと並行して、ロンドン動物園で飼育されている15歳のコモドドラゴン「ガナス(Ganas)」の歯も調べています。
その結果、歯の側面に沿っているギザギザの鋸歯が「鉄」で覆われていたことが新たに判明したのです。
鉄分は鋸歯の先端部分を覆うように濃縮されており、それによってオレンジ色のコーティングができていました。
研究者たちは、オレンジ色の鉄コーティングが歯の切れ味を高める層として機能していると指摘。
鉄の層のおかげで獲物を切り裂く能力が格段に高まっていると考えられます。
また鉄コーティングがなかった場合、コモドドラゴンの歯におけるエナメル質の磨耗が早くなり、獲物を捕食するたびにすり減って切れ味が鈍くなっていただろうと説明しました。
コモドドラゴンが頂点捕食者に君臨できる所以は、この鉄コーティングされた歯に大きな要因があったようです。
チームはこの予想外の発見に驚きを隠せませんでした。
というのも、爬虫類の歯には一般的に「鉄分が豊富に含まれている」という報告がないからです。
そのため、鉄分を歯の表面に濃縮させるコモドドラゴンの能力は、爬虫類の中でも極めて稀なケースだといいます。
Tレックスも「鉄コーティングの歯」を持っていた?
ただ研究チームは、コモドドラゴンと同じ「鉄コーティングの歯」を持つ最有力候補として、ティラノサウルスを代表とする肉食恐竜を挙げています。
先ほども言ったように、コモドドラゴンと肉食恐竜の歯は互いによく似ていることがわかっています。
ですから、肉食恐竜の鋸歯にも鉄コーティングが施されていた可能性は十分にあります。
しかし意外にも、肉食恐竜たちの歯にそのような証拠はまだ見つかっていません。
その理由について、研究主任のアーロン・ルブラン(Aaron LeBlanc)氏は「化石化の過程で何らかの化学変化が生じ、それが元々の鉄の量を変えてしまっている可能性がある」と指摘しています。
それでも現在の化学分析の技術を発達させれば、肉食恐竜の歯の中にも鉄コーティングの存在を示す新たなマーカーが見つかる可能性は高いです。
現にコモドドラゴンと肉食恐竜は同じ爬虫類の一派なので、両者が「鉄の牙」を共有していたとしてもおかしくはないでしょう。
もしコモドドラゴンがTレックスと同じ牙を持っているとなると、今日の生態系で無双状態になっているのも納得ですね。
同じ爬虫類とはいっても有鱗類は主竜類とはかなり離れたグループだからなぁ。
似たような進化を遂げる場合もあるだろうけど。
この鉄って、貯蔵先に歯が選ばれているのか? 廃棄先なのか? ここまで輸送する鉄輸送タンパク質はほ乳類と同系統なのか? 別物なのか? まあ、爬虫類にあるからほ乳類にも引き継がれているのだろうから同系統として、貯蔵なのか破棄先なのかどっちなのだろう?