電子レンジの内部には細菌たちが生き残っている!定期的な掃除が大切!
分析の結果、30台の電子レンジから合計で25門747属の細菌が発見され、菌の多様性は、家庭用電子レンジで最も低く、実験用電子レンジで最も高くなりました。
そして家庭用電子レンジと共用スペース用電子レンジでは、発見された細菌の多くの種が重複していると分かりました。
またこれらの細菌は、人間の手やキッチンの他の場所に見られるものと似ていました。
このことは、キッチンに存在する一般的な細菌たちが、電子レンジの中でも死滅せず生き残ってしまうことを示しています。
研究チームは、飛散して付着した食品の残留物が、電子レンジが発する電磁波から細菌を守ったと考えています。
また加熱ムラや、高温への耐性を持つ細菌の存在ゆえ、短時間の電子レンジ使用では、細菌たちを完全に死滅させることはできていませんでした。
では、このことは私たちにどのような影響を与えるのでしょうか。
研究チームは、「家庭用電子レンジで見つかったクレブシエラ属やエンテロコッカス属などの細菌は、人体に悪影響(感染症など)をもたらす恐れがあります」と述べています。
これらの属は食品によく見られ、劣化や腐敗のプロセスと関連しています。
だからこそ彼らは、次のことを勧めています。
「これらの細菌で食品が汚染されるのを防ぐには、電子レンジを清潔に保つことが重要です。
電子レンジ使用後は毎回内部を拭き、こぼれた食品はすぐに掃除すべきです。
また、家庭用洗剤や薄めた漂白剤溶液で毎週電子レンジを消毒することも大切です。
さらに、加熱中に(ラップなどで)食品を覆うなら、細菌の拡散を抑えることができます」
一方で、研究室にあった実験室用の電子レンジでは、状況が大きく異なっていました。
これらの電子レンジでは食品を扱わないので、食品関連の細菌はいませんでした。
しかし、デイノコッカス属や、ヒメノバクアー属など放射線に強い細菌が含まれており、その微生物叢はソーラーパネル上の微生物叢に似ていました。
研究室の電子レンジでは、絶え間ない熱、電磁波、乾燥により、それらに耐性のある細菌だけが生き残ったのです。
そして研究チームは、このような選択圧が実験用電子レンジ内部の細菌たちの耐性を強めたと考えています。
今回の研究では、食品を扱う一般的な電子レンジでも、研究室で利用する特殊な電子レンジでも、内部には多くの細菌たちが生き残っていると分かりました。
そのため、一般の人々であれ、研究室の職員であれ、電子レンジを定期的に掃除・消毒することは大切です。