研究結果の解釈と対応
2023年に行われた研究でも、米国とヨーロッパの4,000人以上の血液を分析し、エリスリトールの血中レベルが高い人は心臓発作や脳卒中を経験する可能性が高くなることが発表されています。

今回の最新研究のメンバーである米国ラーナー研究所のへ―ゼン(Stanley L.Hazen)氏は、例えば心臓病や糖尿病のある人は、心血管疾患のリスクに関して言えば、エリスリトールで甘くした飲み物や食品を摂取するよりも、少量なら砂糖入りのお菓子を時々食べる方が望ましい、と助言しています。
一方、今回の最新研究の問題点を指摘する別の専門家は、その論文の中で、エリスリトール体内で合成される代謝産物であり、肥満、脂質異常症、糖尿病等の疾患を持つ人は、代謝が促進されて体内で過剰に合成される可能性があるため、摂取によるエリスリトールが血栓症リスクを増加させるとは言えない、という見解を示しています。
また、エリスリトールの血管への作用に関する他の試験では、1日36g のエリスリトールを4週間摂取し、エリスリトール摂取前後の血管の機能を評価したところ、エリスリトールが小さな血管の内部の状態や、動脈硬化を改善させるという結果が得られています。
この結果では、エリスリトールの継続摂取が血管に有益に作用している可能性を示しています。
以上の状況から、通常の摂取量におけるエリスリトールの利用において安全性を再評価すべきか否かについては、今後大規模な臨床観察研究、細胞レベルの試験および動物試験等を踏まえた慎重な判断が必要と考えられます。
ただ長期的な利用におけるリスクを正確に判断することは難しい問題なため、血栓症や心血管疾患への不安がある人は、今回の研究者が言及するように、砂糖の代替としてエリスリトールを利用することは避けて、砂糖の摂取自体を控えめにするよう努力した方が良いかもしれません。


























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