シャチたちはマグロ狩りの練習としてボートを襲っていた
ロペス氏研究チームは、シャチのマグロ狩りと、シャチのボート襲撃事件に類似点を見出しています。
つまり、シャチたちは、マグロを狩るための練習として、ボートのラダー(ボート下部に伸びる板。ボートの向きを変えるために使用される)に体当たりしたり、噛みついたりしているというのです。
イヌはおもちゃで遊びながら狩りの練習をするものですが、シャチたちも人間の動くボートをおもちゃにして狩りの練習をしていたのです。
マグロは非常に速く泳ぐため、狩りをするには正確な体当たりや噛みつきが必要です。
そのため適度な速度で進む人間のボートは、練習にはちょうど良いのかもしれません。
イギリスを拠点とするクジラやイルカの保護団体「Whale and Dolphin Conservation (WDC)」の一員であるエリック・ホイト氏は、今回の研究には関わっていないものの、シャチが遊びながら狩りの練習をしている説に同意しています。
彼は、「捕食動物が持つ好奇心が、遊び行動に繋がった可能性が高い」と述べています。
そして、「この遊びは、マグロを狩るための技術を高めるだけでなく、シャチたちの認知能力や身体能力を養うのに役立っているかもしれない」と続けています。
シャチのことを考えてむやみに反撃しない人間たちのボートは、今後も、シャチたちにとって「都合の良いおもちゃ」なのかもしれません。