あらゆる種でみられる生命現象もミミズでは通用しない
ミミズは、落ち葉や枯草を分解することで豊かな土壌を作り上げる手助けをしてくれます。
ミミズに似た生物は海や淡水にも生息しており、このニョロニョロした生物たちは一つの大きなグループ(環形動物門)に属しています。
たとえば海に生息するゴカイや淡水域に生息するヒルなども、ミミズの仲間として知られています。
しかし新たな研究では、私たちにとって身近な陸上のミミズたちのゲノムが、祖先の海洋生物と比べて完全にごちゃまぜになっていることが発見されました。
これまで様々な生物のゲノムが分析されてきましたが、先祖のゲノムセットがここまでかく乱された生物は確認されていません。
これまでの研究では、同じ遺伝子について調べると、近い種の間ほどDNA配列が似ており、遠い種ほど違いが大きくなることがわかっています。
「人間とチンパンジーのゲノム情報の98.8%が同じ」という話を聞いたことがあるのも、人間とチンパンジーが極めて近い種であるからです。
両者のゲノムをお弁当の具材に例えるならば、人間のゲノムもチンパンジーのゲノムも両方とも同じコンビニで売られている「和風懐石弁当」であり、同じような具材を使って構成していることを示します。
たとえば人間のお弁当に含まれるシャケや卵焼きとチンパンジーのお弁当に含まれるシャケと卵焼きの一致率が98.8%であることを意味します。
またこの類似点は染色体にも反映されており、近い種では染色体に含まれる遺伝子セットも近くなることが知られています。
こちらもお弁当に例えるならば、人間のお弁当(ゲノム)の仕切りとチンパンジーの仕切りがほぼ一緒であることを意味します。
(※人間の染色体は46本(お弁当が46カ所の具分けがされている)でチンパンジーの染色体は48本(お弁当が48カ所の具分けがされている)です。これは人間ではチンパンジーの12番と13番の染色体が融合しているからです。お弁当に例えるならば漬物ゾーンとショウガゾーンがチンパンジーでは区切られているのに人間では一緒になってしまっていると言えるでしょう。ただそれ以外の区分けは両方の種でほぼ保たれています)
このような区分けは左右対称の外見をした生物(脊椎動物からタコやイカ、ミミズも含む)では、おおむね一致していることが知られており、またその範囲をサンゴや海綿動物などに拡大しても、ある程度の一致を保っています。
この現象は「マクロシンテニー」と呼ばれており、広範な生物が同じ染色体に同じ遺伝子を持つ傾向があることを示しています。
(※シンテニーという概念は染色体内の遺伝子の保存された順序を指します)
近くにある遺伝子は連動して動きやすくなり、マクロシンテニーを維持することは先祖の使っていた遺伝子の連動システムを子孫が引き継いでいることを示しています。
より生物学的な説明をすれば以下のようになります。
しかし新たな研究により、この法則はミミズには当てはまらないことが明らかになりました。