量子現象の「巣」を保護すると麻酔に抵抗できる
ニューロンのどこで量子現象が起きているのか?
量子意識理論では伝統的に、その場所が微小管であると考えられています。
微小管とは細胞の内部に張り巡らされている細い繊維であり、細胞の骨格として、細胞の形を保つ手助けを行っています。
また細胞分裂時には、複製したDNAの塊である染色体を、それぞれの娘細胞の元に引っ張っていくなど動的な役割を果たしています。
量子意識理論では、この微小管内部で量子的重ね合わせが発生する場であると共に、量子的重ね合わせが崩壊しないように保護する保護機構としても機能すると考えられています。
量子意識理論では、この微小管が量子的な情報処理機構として機能し、意識は量子状態が崩壊する瞬間に生成されるとしています。
量子コンピューターが量子的状態を維持し、それが崩壊するときに答えを算出するように、意識も量子状態の発生と崩壊によって出現するのです。
この考えは量子意識理論の中でも有名な一節であり、神経科学者のスチュアート・ハメロフとノーベル物理学賞受賞者であるロジャー・ペンローズによって提案されたもので、意識が単なる神経回路の活動ではなく、量子現象に依存しているという考えを持っています。
そこで新たな研究でウェルズリー大学の研究者たちは「意識が微小管によって作られるならば、微小管の保護を厚くしてやれば麻酔薬への抵抗性が増すのでは?」と考え、以下のような実験を行いました。
調査にあたっては実験用のラットが用意され、微小管を安定化させる作用が知られているエポチロンB(epoB)が投与されました。
これまでの研究により、タキサン化学療法など微小管を安定させる作用がある薬を投与された患者では麻酔の有効性が低下することが知られていたからです。
また麻酔薬には揮発性麻酔薬の一種である4%イソフルランが使用され、ラットが意識を喪失するまでの時間が計測されました。
もし微小管が意識の発生や維持に重要な役割をしているならば、微小管安定化薬を加えることで、麻酔の効果に抵抗できるはずです。
すると、エポチロンBを与えられたラットでは、そうでないラットに比べて、麻酔によって意識を失うまでの時間が平均して69秒長くかかることが判明。
これは統計的にも有意な値でした。
この結果は、微小管の安定化が意識の維持において重要であることを示しています。
同様の結果はオタマジャクシを用いたケースでもみられており、微小管安定化薬の投与によって全身麻酔に抵抗する効果を得られたことが示されました。
さらに別のシミュレーション研究では、微小管を構成するタンパク質(チューブリン二量体)に8種類の麻酔薬と麻酔薬ではない薬が結合したときの分子挙動が計算され、麻酔薬が結合したときにのみ、微小管タンパク質サブユニットの高周波振動が破壊されたことが示されました。
研究者たちは「結果は麻酔薬が微小管に結合することで脳の活動が低下し、意識喪失を引き起こすことを示しており、量子意識理論を支持するものである」また「心が量子現象であると認められるようになれば、私たちは自分自身についての理解において新しい時代に入ることになる」と述べました。
もしかしたら「我思う時に我あり」であるのは、我を思って内面を観測した時にだけ、量子効果によって、意識が発生するからかもしれません。
また研究者たちはプレスリリースの最後に「意識の量子的な理解はより自然で総合的な方法で宇宙とつながることができる世界観を私たちに与えてくれる」と述べました。
ややスピリチュアルな雰囲気を感じさせる言葉ですが、量子意識理論が実証されれば、古典的な意識の概念に縛られている私たちを、より科学的に正しい認識へと導いてくれるのは間違いないでしょう。
敬遠と嫌煙を間違えてますが、興味深い内容ですね。意識より行動が先立つのも、もしかして量子論で説明できるのかも?
どうしてAIが感情を持たないのか、という疑問を一番分かりやすく説明できているように思う。
過熱と加熱を間違えてますね。
意識の過程で量子飛躍が連続的に生じているということが、意識は物質に還元され、そういう機序も含まれると言っているのか、物質には単純には還元されないと言ってるのか、よくわかりませんね。