遠隔手術と相性が良い「磁気を用いた内視鏡手術」
一般的な外科手術の多くは、ある意味、既に「遠隔」で行われています。
医師の手が直接届かない部位の手術は、医師がライブカメラ映像を見ながら、医療機器をコントローラーで操作するのです。
例えば、内視鏡手術は、まさにこの方法で行われます。
内視鏡手術では、「内視鏡」と呼ばれる先端にカメラを内蔵したチューブ型の医療機器を、患者の口や鼻、肛門から挿入。胃腸まで伸ばし、患部を検査したり切除したりします。
このタイプの手術では、患者の身体を切開することがなく、リスクが小さいため、経験豊富な医師が患者のすぐそばにいる必要性が減ります。
そして現段階でも、患者の隣でいわば遠隔手術をしているのであれば、患者との距離をもっと広げることが可能なはずです。
もし、国境を越えるレベルでの遠隔手術が可能になれば、より多くの人を少ない労力で救うことができます。
患者の近くに手術を行える人がいない場合でも、設備さえ整っていれば、他の国からその分野のスペシャリストに手術を行ってもらえるからです。
そして、このような遠隔手術に役立つ技術も整ってきました。
過去10年で、磁気ナビゲーション(磁気により医療機器を操作・誘導する手法)の技術は大きく成長しており、精度の向上、傷つけるリスクの低減が見られます。
そこで今回、チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)と香港中文大学(CUHK)は共同で、ブタを使った内視鏡手術のテストを行い、遠隔手術が可能であることを実証しました。