ウズラは見た目から恋に落ちる
ヒトを含む多くの社会性のある動物は、5感(視覚、味覚、聴覚、嗅覚、触覚)を使って、周囲の環境から感覚的な情報を受け取り、他者とコミュニケーションを取ります。
一目惚れは、目で見た情報を脳で認識し、瞬間的に感情が動く、という反応です。これまで異性を見た時に、脳の神経回路がどのように変化するのかは分かっていませんでした。
早稲田大学の筒井らの研究チームは、ニホンウズラを使って、異性を見た瞬間の脳の神経回路を調べることで、一目惚れのメカニズムを明らかにしました。
ニホンウズラは日本を代表的とする家禽で、体長20センチメートルほどの小さな鳥です。
食卓でもおなじみの、ウズラの卵の親鳥です。
ニホンウズラは、ヒトと同じように視覚的な情報をもとにして、他者とコミュニケーションを取る生物です。
ニホンウズラのオスは気性が荒く、オス同士を同じケージで飼ってしまうと、ケンカが頻発し、どちらかが死んでしまう可能性もあります。
一方で、オスのウズラとメスを同じケージで飼うと、メスを見たオスはすぐにそっとメスに寄り添い、交尾行動を行います。
つまり、ニホンウズラのオスはメスを見た時にだけ、一瞬で恋に落ちたような状態になります。
筒井らはこの特性に注目し、ニホンウズラを「一目惚れ」メカニズム解明のための動物モデルとしました。