放射線に強いメカニズムを解明!ヒトの役にも立つ
これまで、コナン細菌の放射線耐性は主に「DNAの修復能力が異常に高いからだ」と考えられてきました。
放射線にDNAを傷つけられても、直ちに回復できることが鍵だと見られていたのです。
もちろんDNA修復能力の高さも重要ですが、ノースウェスタン大学の最新研究ではむしろ、DNAが傷つけられる以前に、活性酸素からDNAやタンパク質を守る防御システムが強靭であったことが明らかになりました(Press release, 2024)。
同チームはコナン細菌の放射線耐性の秘密を解き明かすべく、分子レベルで調査を実施。
するとコナン細菌は活性酸素を一掃できる強力な抗酸化物質を生成できることが判明したのです。
さらに深掘りしてみると、この抗酸化物質は「マンガンイオン」「リン酸塩」「ペプチド」の3つの成分が強固に結合してできていることがわかりました。
実はこれ以前に、マンガンとリン酸塩を組み合わせると強力な抗酸化物質が合成できることは知られていました。
しかしコナン細菌はそこへさらに、複数のアミノ酸の結合でできた分子の「ペプチド」を組み合わせており、実験の結果、マンガンとリン酸塩だけの組み合わせよりも遥かに強い放射線耐性を発揮したのです。
研究主任のブライアン・ホフマン(Brian Hoffman)氏も「この3つの複合体こそが放射線に対する優れたシールドになっていました」と説明。
その上で「マンガンとリン酸塩が一緒になると強力な抗酸化物質になることは以前から知られていましたが、今回、第3のペプチドを加えることによってもたらされる『魔法の力』を発見できたことは非常に画期的です」と続けています。
コナン細菌は放射線によって大ダメージを与えられる前に、強力な抗酸化物質シールドでもって、活性酸素を除去していたのです。
そして最小限に抑えられたダメージのおかげで、その後のDNA修復プロセスへとスムーズに移行できると考えられます。
今回の知見は、医療や防衛、宇宙探査の分野に大いに役立てられる成果です。
ホフマン氏らは例えば、ミッション中の宇宙飛行士を強烈な放射線から守る薬剤を開発したり、放射線から身を守るワクチンの開発につながると考えています。
コナン細菌の力が私たちを放射線の脅威から守ってくれるかもしれません。
放射線の影響って DNAを放射線が直接破壊すると聞いたことがあるが、記事によると 放射線が破壊するのは水分子でそこから出た 活性酸素が DNA を破壊するとのことでちょっと意外だった。活性酸素や抗酸化物質はストレスや緑黄野菜などでよく聞く言葉 だが、放射線との関係があるとは知らなかった。それでも放射線が DNA を貫いて破壊するということもありそうな気がするのだが。
1000グレイで1gあたり1ジュールの熱量になる。
約4.2ジュールで水の温度が1度上がるから、25000グレイで約60度分のエネルギーになる。
もちろんカスケード反応もあるから、実効熱量はもっと多いはず。
凍結してても14万とか食らったら沸騰しそうなものだが、ゆっくり照射したということなのか?
放射線の恐ろしさは、普通の生物相手なら体温を0.01度も上げないエネルギーで殺せるところである(省エネで殺せる)。
コナン細菌は沸騰するくらい浴びないと死なないとか書いてあると分かりやすいと思う(逆に非効率)。