男女とも子育てによって脳が若返る
今回の研究では、イギリスの大規模な生物医学データベース「UKバイオバンク」を活用し、子供を持つことが脳の機能的結びつきにどんな影響を与えるのかを調べました。
研究者たちは約3万7000人の被験者の脳スキャンデータを分析し、脳の異なる領域がどのように連携しているのかを調査しました。
特に、運動や感覚、社会的なつながりに関与する脳のネットワークに焦点を当てました。
その結果、子どもを持つ親は、子供を持たない人に比べて、運動や感覚に関する脳の結びつきが強くなっていることが判明しました。
通常、これらの脳領域の結びつきは加齢に伴い低下するのですが、子供を持つ親は逆に脳のネットワークがより活発に機能していたのです。
さらに脳の若返りの効果は子どもの数が多いほど顕著になっていました。
これは「子育ての経験そのものが、脳を鍛える環境要因として機能している」可能性を示唆しています。
また母親だけでなく父親にも同様の傾向が見られたことから、この影響は妊娠や出産によるものではなく、「子育てをするという経験」が脳に作用していることがわかります。
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では、子どもを持たない人はこの効果を得られないのでしょうか?
これについて、研究者たちは「脳へのポジティブな影響は、子供を持つこと自体というよりも、子どもを持つことで増える社会的交流や身体的な活動によって生じている可能性が高い」と述べています。
つまり、必ずしも子どもを持っていなくても、社会的なつながりを増やしたり、身体を積極的に動かしたり、新しいことに挑戦するなどの認知的な刺激を増やすことで、誰でも脳を若返らせることは可能だと研究者は推測しています。
その一方で、子育てのみに特有の効果があるとも考えられますが、その点についてはさらなる調査が必要です。
一般的に「子育ては大変」と言われがちですが、今回の研究から、その経験が脳の老化を防ぎ、むしろ若返りを促す可能性があるとわかりました。
これは親にとっても、これから親になるかもしれない人にとっても、興味深い発見でしょう。
また子どもがいない人でも、積極的な社会的交流や身体活動を増やしたり、あるいは兄弟姉妹の子供の面倒を積極的に見たりすることで、脳の健康を維持できる可能性があります。
子育ての大変さの中にも、意外な恩恵が隠されているかもしれません。