画像
Credit: Bethan Linscott et al., Science Advaces(2025)
history archeology

現生人類とネアンデルタールの「混血児」、あり得ない生存年代が判明⁈

2025.03.11 12:00:13 Tuesday

1998年、ポルトガル中部のラペド渓谷で奇妙な子供の遺骨が発見されました。

その遺骨は「ラペド・チャイルド(Lapedo Child)」と呼ばれ、現生人類(ホモ・サピエンス)とネアンデルタール人の両方の特徴を兼ね備えていたのです。

現生人類はネアンデルタール人と交配していたことが知られていますが、彼らは約4万年前に絶滅しています。

そして大きな謎となっていたのが、ラペド・チャイルドの生存年代でした。

これまで曖昧な年代しか推定されていませんでしたが、米マイアミ大学(University of Miami)らの最新研究で、ついに正確な生存年代が明かされました。

それによると、この混血児は約2万8000年前に生きていたとのことです。

これは一体どういうことでしょうか?

研究の詳細は2025年3月7日付で科学誌『Science Advances』に掲載されています。

Scientists pinpoint age of suspected human-Neanderthal hybrid child https://www.popsci.com/science/lapedo-child-age/ 28,000-year-old Neanderthal-and-human ‘Lapedo child’ lived tens of thousands of years after our closest relatives went extinct https://www.livescience.com/archaeology/28-000-year-old-neanderthal-and-human-lapedo-child-lived-tens-of-thousands-of-years-after-our-closest-relatives-went-extinct
Direct hydroxyproline radiocarbon dating of the Lapedo child (Abrigo do Lagar Velho, Leiria, Portugal) https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adp5769

現生人類とネアンデルタールの「ハイブリッド」はどんな姿だった?

現生人類とネアンデルタール人は、約4万年前までヨーロッパで共存していたと考えられています。

現代人のゲノムにもネアンデルタール由来のDNAが残っており、交配が行われていたことはすでに確定的です。

そこで気になるのは「現生人類とネアンデルタール人のハイブリッドはどんな姿をしていたのか」ということでしょう。

その答えを与えてくれる化石標本が「ラペド・チャイルド」でした。

画像
ポルトガル中部のラペド渓谷/ Credit: Bethan Linscott et al., Science Advaces(2025)

ラペド・チャイルドは1998年に、ポルトガル・ラペド渓谷にあるラガール・ヴェーリョ1という遺跡で発見されました。

4~5歳の子供ものほぼ完全な骨格を留めており、その体はネアンデルタール人に特有の短くがっしりした脚と、現生人類に特有の丸みを帯びた頭蓋骨を持ち合わせていたのです。

一方で、後頭部のくぼみのある部分は再びネアンデルタール人の特徴を想起させました。

これらはラペド・チャイルドが現生人類とネアンデルタールとの「ハイブリッド」であることを物語っています。

しかし今日まで問題となっていたのが、ラペド・チャイルドの生存年代です。

ネアンデルタール人は4万年前に絶滅しているので、それ以降に生きていた可能性はないと考えるのが普通でしょう。

ところが、これまでの年代測定では2万〜2万6000年前という曖昧であり得そうもない数字しか得られていませんでした。

そこで研究チームは最新の年代測定技術を駆使して、ラペド・チャイルドの生存年代を明らかにしようと考えたのです。

次ページあり得ない生存年代が判明⁈

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

歴史・考古学のニュースhistory archeology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!