「圧縮したら横方向に縮む」新材料を開発
RMIT大学の研究チームは、カイロウドウケツの骨格構造を基に新たな構造「bio-inspired lattice structure(BLS)」を開発しました。
この材料は、精巧な格子状のフレームを持ち、負のポアソン比を示します。

通常の材料は、圧縮されると横方向に広がり、引っ張られると横方向に縮みます。
しかし負のポアソン比では、圧縮されると横方向に縮み、引っ張られると横方向に広がる特性があります。
このような性質を持つ材料は「オーセチック(auxetic)材料」と呼ばれ、衝撃吸収性やエネルギー分散性能に優れています。
従来のオーセチック材料は、医療用ステントや靴のクッション材、防護服などの分野で利用されてきましたが、それらは剛性が低く、大きな変形に対する耐久性に課題がありました。

BLSは、このオーセチック構造の利点を活かしながらも、より高度な格子設計を採用することで、従来のオーセチック材料の13倍の剛性、10%多くのエネルギー吸収、60%大きな変形範囲を実現しました。
これにより、従来のオーセチック材料と比較して、より頑丈で衝撃に強い構造を持ちながら、しなやかに変形し続けることが可能になっています。
この新素材の応用範囲は非常に広く、建設資材や防護具、スポーツ用品、医療まで、様々な分野での活躍が期待されます。
深海の生物が生み出した驚異のデザインが、私たちの未来を変えるかもしれません。