青い天使の特殊能力「毒を盗んで自分のものにする」

アオミノウミウシ(学名:Glaucus atlanticus)は、体長20〜50ミリメートルほどで、胴体の左右から翼を広げたような見た目をしています。
そのファンタジックな姿から付いたあだ名は「青い天使(Blue Angel)」や「青い竜(Blue Dragon)」などです。
アオミノウミウシは普段、水面近くを漂いながら、猛毒を持つクラゲなどを捕食していることが知られています。
特に「カツオノエボシ」というクダクラゲ目の猛毒生物を好物とします。
カツオノエボシは毒針を使って小魚を刺し、麻痺させて捕食する危険な習性を持っており、誤って刺されたヒトが死亡した例もあるほどです。

ところが、カツオノエボシを食べるアオミノウミウシにはとんでもない特殊能力があります。
彼らはカツオノエボシを食べた後、その毒針である「刺胞」を消化せずに体内に取り込んで、武器として捕食者からの防御に利用しているのです。
この能力を「盗刺胞」といいます。
そして盗んだ刺胞は、体の左右に伸びる側方突起「ミノ」の先端に貯蔵するのです。
その一方で、これらの側方突起「ミノ」は防御にのみ使われており、それ以外の役割はよくわかっていませんでした。
しかし今回の新たな研究で、アオミノウミウシはミノを獲物の狩りに使っていることが判明したのです。