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ChatGPTに頼りすぎる学生は成績と意欲が低下する / Credit:Canva
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「やったのはAIだから…自分じゃできない…」ChatGPTに頼りすぎる学生は”成績”と”学ぶ意欲”が低下する

2025.06.05 11:30:08 Thursday

ChatGPTのような生成AI(Generative AI)は、今や誰でも簡単に使える身近なツールとなりました。

文章作成や要約、翻訳、質問応答にいたるまで、ボタン一つでスマートに応じてくれるこのAIは、学生にとっても魅力的な“学習アシスタント”のように映ります。

しかし、果たしてそれは本当に学びを助けてくれているのでしょうか?

パキスタンの大学「SZABIST」の研究チームは、ChatGPTのような生成AIの学業利用が、学生の成績や意欲にどのような影響を与えるのかを、性格や教育環境と絡めて本格的に分析しました。

研究の詳細は、2025年3月28日付の『Education and Information Technologies』に掲載されました。

Too much ChatGPT? Study ties AI reliance to lower grades and motivation https://www.psypost.org/too-much-chatgpt-study-ties-ai-reliance-to-lower-grades-and-motivation/
Personality correlates of academic use of generative artificial intelligence and its outcomes: does fairness matter? https://doi.org/10.1007/s10639-025-13489-6

ChatGPTに頼りっきりの学生はどうなっていく?

スマートフォンや検索エンジンの普及以降、教育現場では学生の”努力離れ”が以前から懸念されてきました。

しかし生成AIの登場により、「考えずに答えを得る」ことが一気に加速しました。

研究者のスンダス・アジーム氏が今回の調査を始めたきっかけは、講義中に感じた小さな違和感だったといいます。

AIを使って課題を提出した学生の中には、ディスカッションに積極的に参加せず、発言の内容が他の学生と驚くほど似通っているケースがあったそうです。

このような観察から、彼女は「AIの使用が学生の思考や理解に与える影響は無視できないのでは?」と考えるようになり、実証的な調査を開始したのです。

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AIを使って課題を提出する学生に共通する「消極的な態度」 / Credit:Canva

しかし、これまでに行われてきた「学生による生成AIの利用に関する研究」では、学業成績が考慮されることはほとんどなく、性格特性などの個人差も無視されていました。

そこで今回、アジーム氏ら研究チームは、それらの点を含め、生成AIが学生にどんな影響を及ぼすのか調査しました。

この研究がユニークなのは、単に「AIを使う学生の成績は?」というシンプルな問いにとどまらず、以下のような複合的な視点で構成されている点にあります:

  • 学生の性格特性(ビッグファイブ:誠実性、開放性、神経症傾向)
  • ChatGPTを中心とした生成AIの学業利用頻度
  • 学習に対する自己効力感(”自分ならできる”という感覚)
  • 学習性無力感(”やっても無駄”というあきらめ)
  • 実際の成績(CGPA)
  • 評価の「公正さ」に対する主観的な印象

調査はパキスタン国内の3大学に在籍する大学生326人を対象に、3回にわたるオンラインアンケート形式で実施されました。

すべての項目には、心理学で実績のある尺度が用いられ、学業成績は学生の提出した実際のCGPA(累積成績平均)で客観的に評価されました。

では、どんな結果になったでしょうか。

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