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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
biology

4万年前の永久凍土から「微生物」が目覚める

2025.10.13 12:00:10 Monday

アラスカの永久凍土に4万年間も眠っていた”生命”が、目覚めた!

そんな驚くべき報告が米コロラド大学ボルダー校(CBU)の研究チームにより発表されました。

この発見は「地球の過去」が静かに息を吹き返し、未来の気候にも大きな影響を及ぼす可能性を秘めています。

研究の詳細は2025年9月23日付で科学雑誌『Journal of Geophysical Research: Biogeosciences』に掲載されました。

After 40,000 Years, Microbes Are Awakening From Thawing Permafrost https://www.sciencealert.com/after-40000-years-microbes-are-awakening-from-thawing-permafrost Researchers wake up microbes trapped in permafrost for thousands of years https://www.colorado.edu/today/2025/10/02/researchers-wake-microbes-trapped-permafrost-thousands-years
Microbial Resuscitation and Growth Rates in Deep Permafrost: Lipid Stable Isotope Probing Results From the Permafrost Research Tunnel in Fox, Alaska https://doi.org/10.1029/2025JG008759

氷の墓場に眠る「太古の生命」、永久凍土トンネルでの大発見

アラスカの大地の地下深く、軍事用トンネルの奥には、数千年から数万年もの間、氷と土に閉じ込められてきた微生物たちが眠っていました。

永久凍土(permafrost)は、北半球の陸地の4分の1を覆い、土壌や氷、岩石、さらにはマンモスやバイソンなどの動物の骨まで閉じ込める、いわば「地球のタイムカプセル」です。

しかしその実態は、地球の気温上昇によって静かに“解け始めて”います。

【アラスカの永久凍土の画像がこちら

コロラド大学ボルダー校の研究チームは今回、アメリカ陸軍工兵隊の「永久凍土トンネル研究施設」で、数千年から4万年も前の永久凍土サンプルを採取しました。

トンネル内部の壁には、太古のバイソンやマンモスの骨が突き出ており、微生物学者のトリスタン・カロ氏は「長く放置された地下室のような、強いカビ臭がする」と語っています。

この“におい”こそが、微生物が眠る証拠だったのです。

実験室でサンプルに水を加え、摂氏3.8度と12.2度という北極圏の夏を模した温度で培養を始めると、最初の数カ月間、微生物の活動は極めてゆっくりでした。

しかし半年が経つ頃、彼らは一斉に“目覚め”始め、コロニー(集落)を作り、肉眼で見えるほどのバイオフィルム(生物膜)まで生み出したのです。

カロ氏は「これらは決して死んだサンプルではない。いまも有機物を分解し、二酸化炭素を放出する能力を持っている」と指摘します。

この現象は、数万年もの間“停止”していた生命活動が、現代の環境条件下で再び始動することを意味します。

科学者たちは、この“太古の生命”が現代の生態系や気候システムにどのような影響を及ぼすのか、注目を寄せています。

次ページ気候変動の「最後の未知数」、目覚めた微生物がもたらす未来

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