食用キノコが野生で「無双」していた

食用キノコに生態系を侵略する能力があるのか?
謎を解明するため研究チームはアメリカ・ウィスコンシン州マディソン近郊の森で、立ち枯れたニレの木(倒木や立木の死骸)を調査しました。
その結果、タモギタケのいる倒木一本あたりの菌の種類数は、いない倒木の約半分に減少していることがわかりました。
(※菌の種類数(種の豊かさ)の中央値は、いない木では42種類であったのに対し、タモギタケがいた木では22種類に過ぎませんでした。)
さらに研究チームは、一本の倒木を「丸ごとの平均」で見るだけでなく、木の異なる高さごとの木片からDNAを調べました。
というのも、このキノコは木の一部にだけ入りこんでいることが多く、侵入した部分だけを切り出して見ると、どれくらい在来キノコが追い出されているかが、よりくっきり分かるからです。
するとタモギタケがいる木片では6種、いない木片では22種と、およそ3〜4割程度にまで減っていました。
統計的にも差はかなりはっきりしており、「たまたまの誤差」という説明はしにくい結果です。
研究者たちは森のインフラである倒木の分解という仕事も、タモギタケ一強の状態ではバランスが崩れるおそれがあると警鐘を鳴らしています。
研究者の一人であるミシェル・ジュシノ氏も「タモギタケは一見倒木の上で無害に見えますが、実際には森で強力な競争相手になっています。菌類コミュニティに変化を引き起こし、多様性を減らすことで、木の分解や炭素循環といったプロセスにも影響を与える可能性があります」と警鐘を鳴らしています。
実際、今回のDNA解析では、タモギタケのいる木では、在来菌の出現頻度が大きく下がった例が多数確認されました。
その中にはエルムオイスター(Hypsizygus ulmarius)やミダレアミタケ(Cerrena unicolor)のような木を分解する仲間、ヘビコブタケ(Nemania serpens)のように多様な薬効が期待される物質を作ると考えられている菌も含まれていました。
研究者らは、こうした菌類は新しい薬のタネになる可能性があり、侵入種が在来種を押しのけると未発見の有用物質が失われてしまうおそれがあると述べています。
では、その新参者はどこまで広がっているのでしょうか。
研究チームは市民科学(一般の人が観察データを投稿する仕組み)のサイトに集まったタモギタケの写真記録を集計しました。
その結果、2016年には野外での観察記録が5件しかなかったのに、2023年には2020件まで増え、分布範囲は北米で約200万平方キロメートルに広がっていることが分かりました。
さらに、タモギタケが見つかった場所の気候条件をもとに「どんな環境なら住めそうか」を推定する種分布モデル(生息しやすい場所を予測する統計モデル)を作ると、現在はまだ記録のないアパラチア山脈やグレートプレーンズ、アラスカやメキシコ北部なども、タモギタケにとって気候的には十分住みやすい地域だと示されました。
しかし、なぜここまでタモギタケは強力な侵略者になってしまったのでしょうか。



























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