レーズンを水に漬けるとワインになる仕組み
チームは、レーズン75グラムを滅菌水225ミリリットルに浸して常温で静置し、発酵の様子を観察しました。
3日ほど経つと気泡(二酸化炭素)が生じ、レーズンがぷかぷかと浮き上がってきます。
これは酵母が糖を分解し、アルコールとガスを生み出している証拠です。

14日間の発酵実験で、レーズン水のグルコース(ブドウ糖)はほぼ消失し、エタノール(アルコール)濃度は8%にまで達しました。
つまり、レーズンと水だけで「ワインのような酒」が自然にできあがったのです。
発酵の過程を調べると、はじめはレーズン由来のさまざまな酵母やカビが活動していましたが、発酵が進むとZygosaccharomyces属やSchizosaccharomyces属といったアルコール発酵性酵母が主役に。
これらが競争に勝ち抜き、アルコール生産を担うようになっていました。
さらに、ブドウを「乾燥機」「半天日干し」「天日干し」の3パターンでレーズン化し、それぞれのレーズンを水に漬けて発酵を比較したところ、天日干しがもっとも強く発酵し、外部からやってきた酵母が新たに定着することも明らかに。
自然の中で干されたレーズンほど、発酵に適した“発酵職人”の微生物たちが増える、というわけです。
ワインの起源に迫る新しい視点
今回の発見は、「ワイン酵母はどこから来たのか?」という食文化史の大きな謎にも答えのヒントを与えてくれます。
生のブドウには少ないはずの酵母が、天日干しされたレーズンには豊富に定着し、それを水に漬けるだけで自然にワインができあがる。
もしかすると、保存用の干しブドウを水に戻すという古代の知恵が、ワイン誕生の原点だったのかもしれません。
今後は、レーズンに酵母が定着する仕組みをさらに解明することで、個性豊かな新しい発酵食品やフードロス対策にもつながる技術が生まれることが期待されています。
自然と人間が織りなす「発酵」という知恵の物語は、これからも私たちの食卓に新たな驚きを届けてくれるはずです。


























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この記事に興味を持って自分で実験しようと思うと、酒税法に抵触する可能性がありそうですよね?
記事の紹介にあたっては、そういう点にも触れて頂いた方が良いかと思います。
偶然の産物ってか
ここにたまたま干しぶどう(レーズン)がある。
ミードはつくったことあるけどこいつは発想なかったなぁ。今すぐやる。w