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Credit: canva
health

音楽訓練で「加齢による聴覚低下」が10年遅れると判明

2025.12.17 07:00:41 Wednesday

「年齢を重ねると、騒がしい場所で人の話が聞き取りにくくなる」

そんな変化を感じたことがある人は少なくないでしょう。

実はこの「雑音の中で言葉を聞き分ける力」は、単なる耳の衰えだけでなく、脳の働きも大きく関わっています。

そして最新の研究によって、音楽訓練がこの能力の加齢による低下をおよそ10年分遅らせる可能性が示されました。

全インド音声・聴覚研究所(AIISH Mysore)のチームが発表した論文は、音楽を続けてきた人とそうでない人を幅広い年齢層で比較し、聴覚の「老化のスピード」に明確な差があることを明らかにしています。

研究の詳細は2025年4月の学術誌『Journal of Otology』に掲載されました。

Music training may delay age-related hearing decline by a decade https://www.psypost.org/music-training-may-delay-age-related-hearing-decline-by-a-decade/
Non-Musicians Experience Early Aging in Speech Perception in Noise Abilities Compared to Musicians https://doi.org/10.26599/JOTO.2025.9540020

年を取ると「聞こえにくくなる」の正体とは

加齢による聴覚の変化は、「老人性難聴(presbycusis)」として知られています。

これは主に、高い音を感じ取る内耳の有毛細胞が、長年の使用や騒音曝露によって徐々に傷つくことで起こります。

しかし実生活で困りやすいのは、単に音が小さくなることではありません。

特に問題になるのが、雑音のある環境で言葉を正確に聞き取る能力です。

たとえば、レストランや駅の構内で会話が聞き取りづらくなる、複数人の会話についていけなくなる、といった経験は、この能力の低下と深く関係しています。

この機能は「騒音下音声知覚能力(Speech Perception in Noise:SPiN)」と呼ばれ、耳だけでなく、音を整理・選別する脳の働きが重要な役割を果たしています。

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