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子どもに「科学者を描いて」とお願いすると? / Credit:Canva
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子供への「科学者を描いて」から分かること

2025.12.22 06:30:57 Monday

世界の技術を発展させ、今まさに社会を支えている科学者たちの存在は貴重です。

そして、そうした科学者を目指す子供たちの存在も、同じようにかけがえのないものです。

では、子供たちは「科学者」という存在を、一体どのように思い描いているのでしょうか。

その答えは、研究者たちが50年以上にわたって行ってきた、「科学者を描いてください」と子供に頼む課題によって明らかになってきました。

米国ラトガース大学(Rutgers University)の心理学教授、ヴァネッサ・ロビュー(Vanessa LoBue)氏は、子供の描く科学者像が、時代と年齢によってどう変わるのかを解説しています。

Why the “Draw a Scientist” Test Matters https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-baby-scientist/202512/draw-a-scientist

子どもたちに「科学者を描いて」と頼む理由とは?

Draw a Scientist(科学者を描いてください)」という課題は、子供の絵の上手さや芸術的表現を評価するためのものではありません。

研究者が注目しているのは、子供が頭の中で自然に思い浮かべる「科学者とはどんな人か」というイメージです。

性別や外見、職業としての印象といった無意識の理解を、言葉ではなく絵という形で引き出すために考案された方法なのです。

とくに注目されてきたのが、科学者の性別です。

科学技術分野では長い間、男性が多数を占めてきました。

実際、1966年から1977年にかけて行われた初期研究の結果は、非常に偏ったものでした。

集められた絵のほぼすべてに描かれていたのは男性の科学者で、女性科学者を描いた子供は1%にも満たなかったのです。

この傾向は男の子だけでなく、女の子にも同様に見られました。

つまり、科学者と聞くと男性を思い浮かべる見方が、当時の子供たちの間に広く共有されていたことになります。

研究者たちは、この結果が単に「子供は男性を描きやすいから」ではないことも検証しました。

科学者と教師の両方を描かせると、科学者は男性、教師は女性として描かれる傾向が明確に分かれました。

この結果から、子供たちは職業ごとに性別イメージを描き分けており、幼いころから「科学者=男性がなるもの」という固定観念を持っていることが分かります。

しかし近年では、その傾向も変化してきています。

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