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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
history archeology

6万年前の「世界最古の毒矢」を発見

2026.01.08 18:00:23 Thursday

獲物に矢を放ち、すぐに倒れるのを待つのではなく、毒が回るのを見越して追い続ける。

そんな高度な狩猟戦略が、6万年前にすでに発明されていたとしたらどうでしょうか。

このほど、スウェーデン・ストックホルム大学(Stockholm University)の最新研究で、南アフリカの遺跡から出土した石製の矢尻を調べた結果、世界最古となる「毒矢」の直接的証拠が見つかったのです。

人類の知恵は、想像以上に早い段階で“見えない力”を操っていたようです。

研究の詳細は2026年1月7日付で科学雑誌『Science Advances』に掲載されています。

Earliest Direct Evidence of Poisoned Arrows Revealed in 60,000-Year-Old Relics https://www.sciencealert.com/earliest-direct-evidence-of-poisoned-arrows-revealed-in-60000-year-old-relics 60,000-year-old poison arrows from South Africa are the oldest poison weapons ever discovered https://www.livescience.com/archaeology/60-000-year-old-poison-arrows-from-south-africa-are-the-oldest-poison-weapons-ever-discovered
Direct evidence for poison use on microlithic arrowheads in Southern Africa at 60,000 years ago https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adz3281

6万年前の矢尻に残っていた「毒」の正体

今回注目されたのは、南アフリカ共和国クワズールー・ナタール州にあるウムラトゥザナ岩陰遺跡から出土した石英製の矢尻です。

この遺跡は1985年に発掘され、約6万年前の地層から多数の石器が見つかっていましたが、矢尻の表面に残る微細な物質まで詳しく調べられることはありませんでした。

【調査された実際の矢尻の画像がこちら

今回、研究チームはその中から残留物が確認できる10点の矢尻を選び、ガスクロマトグラフィー質量分析法で化学分析を実施。

その結果、5点の矢尻から植物由来の毒性アルカロイド「ブファンドリン」が検出され、さらに1点からは「エピブファニシン」も見つかりました。

これらの物質はいずれも、アフリカ南部に自生するブーフォン・ディスティカ(Boophone disticha、現地で「ポイズン・バルブ」とも呼ばれる植物)に含まれる毒成分として知られています。

この植物は歴史時代においても、スプリングボックなどを狩る際の矢毒として使われてきた記録があります。

チームは、6万年前の矢尻にも同じ植物由来の毒が塗られていた可能性が高いと結論づけました。

重要なのは、この毒が「即死性」ではない点です。

小型の動物であれば30分ほどで致命的な影響を与えるものの、大型の獲物の場合は動きを鈍らせ、疲弊させる効果が主だったと考えられます。

これは、獲物を長時間追いかける持久狩猟と相性の良い毒だったと言えます。

次ページ毒矢が示す「高度な思考力」と技術文化

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