なぜ自然なのに「人工物のよう」に見えるのか
では、なぜ自然の地形が、これほど人工物に似て見えるのでしょうか。
鍵となるのは、与那国島周辺の地質と地殻環境です。
与那国島の海底は、主に砂岩や泥岩といった堆積岩で構成されています。
これらの岩石には「層理面」と呼ばれる、堆積の境界にあたる平坦な面(地層をつくる物質が堆積した時の面)が存在します。
層理面は岩石の中でも割れやすい弱点であり、広く平らな面をつくりやすい特徴があります。
さらに、これと直交する方向には「節理」と呼ばれる割れ目が発達します。
節理は地震などの応力によって生じるもので、互いに平行な割れ目が規則正しく並ぶことがあります。
与那国島は断層帯に近く、地震活動が活発な地域です。
そのため、岩盤が規則的に割れ、巨大なブロック状に分離しやすい条件がそろっています。
海底で地震が起きるたびに、岩石はこうした弱点に沿って割れ、わずかにずれ動きます。

そこへ海流による侵食が加わることで、割れ目は広がり、岩の表面は削られて平坦になります。
長い時間をかけてこの過程が繰り返されると、階段状で直線的な地形が自然に生み出されるのです。
実際、与那国島の陸上にも、形はより丸みを帯びていますが、配置としては海底地形とよく似た岩体が確認されています。
これは、同じ地質構造が、海中と陸上という異なる環境で、異なる侵食の結果を示していると考えられています。
考古学的遺物や人為活動の痕跡は見つかっておらず、与那国島海底地形は、砂岩が海底で風化・侵食され続けた結果として説明できると結論づけられています。
「失われた都市」でなくても、十分にロマンはある
与那国島海底地形は、現時点では「古代文明の遺跡」と認められているわけではありません。
科学的に見れば、地震と侵食という自然の力が、何千年、何万年もかけて作り上げた巨大な岩の造形です。
しかし、それは決して夢のない話ではありません。
むしろ、人の手を一切借りずに、ここまで幾何学的で壮大な景観を生み出してしまう地球そのものの力こそが、最大の驚きです。
海底都市の正体が自然地形であったとしても、与那国島海底地形は、今なお私たちの想像力を強く刺激し続けています。
























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