「動物でも植物でも菌でもない」多細胞系統が存在した

今回の研究により、プロトタキシテスという4億年前の巨大塔は、「巨大キノコ」ではなく、植物・動物・菌類のどれにもすっきり入らない、絶滅した真核生物の独立した系統だったと考えられることが示されました。
著者たちは「複雑な多細胞の体をつくる能力」は、植物・動物・褐藻・菌類といった限られたグループだけが持っているとしたうえで、プロトタキシテスはそのどれに入れても矛盾だらけになると述べています。
最も単純に説明するなら、「地球の歴史のどこかで、もう1本“複雑な多細胞生物の枝”が立ち上がっていたが、その枝全体がある時点でばっさり折れてしまった」と考えるのが自然だ、というわけです。
スコットランド国立博物館の研究者の一人は「これは『いま私たちが知る生命』ではない生命であり、完全に絶滅した進化の枝に属すると考えられる」とコメントしています。
エディンバラ大学の研究者は、「プロトタキシテスは、生命が巨大で複雑な体をつくるために行った独立の実験だ」とも表現しています。
また今回の成分をAIで分析するという手法はDNAが残らないような古い化石でも、「形の三次元構造+成分の指紋+AIによるパターン解析」を組み合わせれば、「既存の箱に入らない生命」をあぶり出せる可能性があることを示します。
これはプロトタキシテスに限らず、他の化石産地に眠っている「正体不明の生物たち」を再評価するための強力な道具になりうるでしょう。
さらに今回の研究成果は、生き物のグループ分けが、実はまだ完成していないかもしれないというメッセージになり得ます。
これまで教科書では、複雑な体を作る大きな生物は、植物・動物・菌類のどこかに入ることになっていました。
しかしプロトタキシテスは、そのどれにもすっきり収まらない「分類迷子」だと判明しました。
しかも、ただの変わり者ではなく、当時の陸上で最大級という主役クラスの生き物です。
つまり「地球の生命は、昔もっと実験的でカオスだった」ことを静かに告げているのです。
もしかしたら、私たちの系統樹の外側には、こうした“没になった試作品”の枝が、まだいくつも眠っているのかもしれません。


























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