トゲは何のためにあったのか?
最大の謎は「このトゲは何のためにあったのか」という点です。
まず考えられたのは体温調節です。
ハオロンが生きていた時代、この地域は比較的冷涼だったと考えられています。
同じ環境には羽毛に覆われた大型肉食恐竜ユウティラヌスも生息していました。
しかしハオロンのトゲは密集度が低く、保温効果は限定的だった可能性があります。
次に、視覚的ディスプレイやカモフラージュの可能性も検討されました。
ですが、色素細胞の痕跡は確認されていません。
これと別に、感覚器官だった可能性も議論されました。
現生爬虫類には振動や接触を感知する微細な棘構造があります。
しかしハオロンのトゲはそれより大きく、構造的にも一致しません。
【復元された新種のイメージ画像がこちら】
そこでチームが最も有力視しているのが「防御機能」です。
ハオロンの生息域には比較的小型の肉食恐竜が多く存在していました。
このトゲは捕食者を致命的に傷つけるほど強力ではなかったでしょう。
しかし、噛みつきにくく、飲み込みにくい獲物にするには十分だった可能性があります。
論文では、これらの防御は完全な防壁ではないが、捕食に時間と労力をかけさせることで、捕食成功率を下げる効果があったと述べられています。
つまりハオロンは、食べづらい「面倒な獲物」になることで生き延びようとしたのかもしれません。
恐竜の世界はまだ未知に満ちている
恐竜研究は、羽毛の発見以降、私たちのイメージを何度も塗り替えてきました。
そして今回、「トゲの皮膚」というまったく新しいタイプの構造が加わりました。
恐竜の体表は、単なるウロコや羽毛だけではなかったのです。
ハオロン・ドンギの発見は、非鳥類恐竜の皮膚進化が想像以上に多様で複雑だったことを示しています。
恐竜の世界は、まだ私たちが知らない驚きを秘めています。
化石の中には、次の常識を覆すヒントが、静かに眠っているのかもしれません。

























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動物も身体が痒くなることはあるようですが、こういうトゲが生えているタイプの子達は痒くなったらどうするのでしょう…。
大変重要な発見と研究です。以前から鳥脚類のティアニュロンやクリンダドロメウスで体毛・羽毛状構造物が発見されており、特に後者では“原羽毛”よりも複雑な構造の羽毛が複数タイプ確認されていて、獣脚類の中でも鳥に近い系統だけの特徴とされて来た複数タイプの羽毛が実は多くの恐竜に共通する形質(場合によっては翼竜と恐竜共有派生形質)である可能性を示唆していました。今回のハオロンは、やがて大型のカモノハシ竜に至る系統から体毛的構造が発見された事に加え、哺乳類と収斂した構造と起源を持つ針状の毛を一部の鳥脚類が持っていた事が判明した点でも極めて画期的です。鳥脚類を含む鳥盤類は元々「植物を咀嚼して食べ、その為の頬歯と(哺乳類とは別形式だったでしょうが)頬袋を持つ」「それによって大型化した頭部を太めの首と四足姿勢で支える」「気囊の発達は顕著では無さそう(明確な含気骨は観察されない)」等、大型哺乳類との収斂進化と見られる特徴が他の恐竜よりも多く、それ故に若干予想はしていましたが、今回の発見には改めて驚かされました。又、防御機能についても論じられており、よく「何の武器も持たない」等と言われる鳥脚類―特に今回のハオロンの様な亜成体の生存戦略についても貴重な情報を提供してくれるでしょう。日本人としては羨ましい限りですが、まだまだ遼寧省の化石は、底が知れない可能性を秘めていると思います。
>中空の円筒状構造
毒針でしょう
かぶりつかれたら皮膚の下からピュッと毒液。鼻とか目に入ったらイテテな奴。
(現生の大型ネコ科捕食獣が大型の獲物を仕留めるのに、喉に嚙みついて窒息させる映像が動物番組で流されたりします)
復元図を見ると、喉から頸周辺にかけて棘が密生しています。防御機能説を採るなら、太古においても、似たような狩りをする捕食者がいたかもしれませんね。
現生の魚で、マグロの仲間やカサゴの仲間は、プランクトン生活をする幼魚の一時期に頭部に棘を持ちます。防御機能説に立つなら、十分に大きな体の成獣となれば、棘はいらなくなって脱落してもよいかもしれませんんね。
このハオロンでは未発見の様ですが、近い系統のハドロサウルス類の成体の皮膚跡化石からは体毛やトゲを示唆する痕跡は(今の所)発見されていないので、確かに成長と共に生存戦略が変化して抜け落ちる可能性はありそうです。
非Aさんに質問です
記事のハオロン幼獣の復元図は、福井県立恐竜博物館のハドロサウルス成獣の復元図と比べると、後肢より尾側の臀部の肉付きが豊満に描かれています。
(前肢の掌部が平らにはなっているけど)速足のときは使わずに、体幹を水平にした「Tの字」状に二足走行していたのでしょうか?
※漠然とした印象で、「幼獣は前肢と後肢で作られる4角形の中に重心があって、成長とともに後肢寄りに重心が移ってくる」ことで、体幹を起こした立ち上がり姿勢や二足走行を獲得すると思っていました
ナゾロジーさんが悪い訳ではありませんが、生成AIで作成した復元図の様ですので、恐竜博物館レベルの復元図との精密な比較は気にしなくて良いと思います。鈴木さんが仰っている成長による体幹・重心・運動様式の変化については十分有り得ると個人的には考えています。関節や筋肉の強度・完成具合から考えても、成体の方が思い切った態勢がとれた…という可能性も確かに有りそうです。確かカモノハシ竜の成長に伴う姿勢・運動様式の変化についての論文が出ていた記憶があります。自分は所持していないので、何時の誰の論文だったかは、申し訳ないのですが、失念しました。鈴木さんと同様の結論…成体の方が(実際行っていたかは別として)二足姿勢・二足歩行を実行し得る体制を持つ…という内容だったと記憶しています。個人的意見としては、特に今回のハオロンの様な基盤的ハドロサウルス形類や、それ以外の多くのハドロサウルス類も必要があれば二足になれたとは思いますが、御指摘の通り前足の構造は蹄状の爪・指と結合組織や筋肉で覆われ束ねられた、四足動物型(これは成体の方が顕著になる)なので、殆どの生活場面では四足姿勢だったと思います。又、骨のトサカによって頭が重量化し、それを支持する首と背中の結合組織…靭帯や腱の付着部位になる脊椎の神経棘が、ある種の野牛やスピノサウルス類並に高くなった(ピークの位置は三者三様ですが)ヒパクロサウルス等のランベオサウルス類にとって二足姿勢は、サーカスの象の曲芸に近い「やれるけど、別にやらない」ハードルの高いものだったのでは?と考えています。
非Aさんには、わかりやすくご教示いただき、ありがとうございます
気になっていた蹄状の前肢も開設いただきありがとうございます
いろいろすっきりしました