チンパンジーの尿から「アルコール飲料1.4杯分」相当のアルコール代謝物が見つかる
研究チームは次に、EtGの濃度をより厳しい基準でも確かめました。
最初の検査では、EtGが300ナノグラム毎ミリリットル以上あるかどうかを調べています。
その結果、20サンプル中17サンプルが陽性でした。
さらにそのうち11サンプルについて、今度は500ナノグラム毎ミリリットル以上という、より高い基準で再検査したところ、10サンプルが陽性でした。
この水準は、人間では実際に飲酒した可能性が高いと判断する際の目安として使われるレベルです。
もちろん、チンパンジーにそのまま人間の基準を当てはめることはできません。
それでも今回の結果は、チンパンジーたちが果実に含まれる微量のアルコールを、尿に代謝物が残るほど継続的に摂取していたことを強く示しています。
研究チームは、果実のアルコール濃度と食事量のデータも合わせて、チンパンジーが1日にどれくらいのアルコールを取り込んでいるかを見積もりました。
その結果は約14グラムで、人間の標準的なアルコールドリンク約1.4杯分に相当します。
なぜ、果実のアルコール濃度がそこまで高くないのに、尿からははっきりした痕跡が出たのでしょうか。
理由は単純で、前述したように、チンパンジーが食べる量そのものが多いからです。
少しだけアルコールを含む果実でも、それを毎日たくさん食べれば、合計の摂取量は大きくなります。
また、陰性だったサンプルは若い個体や発情中のメスにやや多く見られました。
その理由はまだ分かっていませんが、研究チームはオスがよりアルコールの多い果実を多く確保している可能性も一案として挙げています。
今回の研究には限界もあります。
尿サンプル数は多いとは言えず、しかも特定の果実が大量に実っていた時期に行われた調査でした。
そのため、1年を通していつも同じような摂取が起きているかどうかは、今回のデータだけでは判断できません。
さらに、この研究で直接分かったのは、チンパンジーが果実由来のアルコールを体内に取り込んでいたという点です。
それが行動や体の状態にどのような影響を与えているかまでは、まだ調べられていません。
今後は、発酵果実の摂取が攻撃性や縄張り行動、繁殖のタイミングなどに関わるのかどうかを、長期的に追う必要があります。
























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