凍結➔解凍でも脳はまだ『学習』の仕組みを保っていた

氷を作らない方法として研究者がとったのは「ガラス化」と呼ばれる方法でした。
この方法だと、水は氷ではなくガラスのように固まります。
氷と違い、ガラス化は大きく広がる結晶ができにくいため、細胞を切り刺したり神経同士のつながりを切断する危険性は大きく下がります。
研究ではまず、マウスの脳から、記憶に重要な「海馬」の薄いスライスを切り出して、特殊な保存液で急速に冷やしました。
その後に温め直し、詳細な観察を行いました。
まず見えてきたのは、ただ形だけが残ったわけではない、ということでした。
電子顕微鏡で見ると、神経細胞の膜やシナプス(神経どうしのつなぎ目)の輪郭はかなり保たれており、情報を受け取る小さな突起も大きく崩れていませんでした。
ただ形だけ保たれていても、復活とは言えません。
そこで次に、細胞が酸素を使ってちゃんと生きているかをチェックしました。
すると解凍後の海馬の切片は、元の76%前後のレベルで酸素を使って呼吸ができていました。
つまり解凍後の脳細胞は生きている状態にあったのです。
さらに、電気信号もかなり回復し、細胞どうしが情報交換できることが示されました。
単一の細胞で見ても、細胞の種類ごとに差はあるものの、発火そのものや自発的なやり取りはかなり保たれていました。
(※なおこうした薄い切片で詳しく観察できたのは10〜15時間ほどでした。いわば、この薄い切片そのものの寿命がそのくらいだったわけです。)
ここまでも驚きですが、今回の最大の目玉はここからです。
脳には学習や記憶を担当する回路があって、よく使われるとその回路が強くなり、新しい情報を記憶できるようになります。
今回の研究では、脳切片に新たな電気刺激を与えると、神経どうしが情報を伝える力が長く強まる反応が起こることがわかりました。
さらに海馬の別の回路では、この反応がむしろ強く観測された部分さえありました。
これは、学習や記憶を支える回路の働きが、解凍後にもかなり残っていたことを示しています。
もちろん、完璧にすべて戻ったとは言えません。
短い時間だけ強く変わる反応は一部で弱まり、細胞の種類によって回復のしかたにも差がありました。
それでも今回、「凍らせた脳を解凍しても学習の基本メカニズムが再起動した」という事実のインパクトは計り知れません。
しかし研究はそこでは止まりませんでした。




























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