「露わになる資源」は誰のものか
新たに現れる土地には何があるのでしょうか。
研究者らは、そうした地域の地質や既知の鉱物産出情報から、銅、金、銀、鉄、プラチナなどの鉱物資源が新たに露出する可能性があるとしています。
これらは工業や製造業にとって重要な資源であり、経済的価値も高いものです。
これまで氷の下にあって開発の現実性がきわめて低かった資源が、将来は見つけやすく、近づきやすくなるかもしれないのです。
もちろん、これは「すぐ採掘できる」という意味ではありません。
研究者らは南極が今後もきわめて厳しい環境であり続けることを強調しています。
寒さ、風、輸送の難しさ、インフラの不足を考えれば、資源が見えるようになったからといって、ただちに掘りに行けるわけではないのです。
ただ、それでも意味は大きいのです。
なぜなら、これまで遠い話だった南極の資源が、将来は経済的に検討対象になりうると示されたからです。
ここで避けて通れないのが、「南極は誰のものなのか」という問題です。
南極ではイギリス、チリ、アルゼンチンなど複数の国が領有権を主張していますが、南極条約はそれらの立場をいったん棚上げし、新たな主張や主張の拡大を認めない仕組みを取っています。
南極は軍事利用ではなく平和目的に限って使われ、科学研究の国際協力の場として扱われてきました。
さらに重要なのは、南極の鉱物資源に関する活動は、科学研究を除いて原則として禁止されている点です。
それでも南極条約及び議定書は2048年以降に改訂が可能になるため、何らかの動きがあるかもしれません。
今回の研究が重い意味を持つのは、温暖化が単に自然環境を変えるだけでなく、国際ルールの前提まで揺さぶりかねないことを示しているからです。
氷の下に隠れていた資源が現実味を帯びれば、領有権を主張する国々や資源確保を重視する国々の関心は、これまで以上に強くなるでしょう。
一方で、だからこそ環境保護を優先すべきだという声も強まるはずです。
南極は今後、資源を前にして「世界が試される場所」になるのかもしれません。
温暖化は大地と資源、そしてそれをどう扱うかという人類の価値観まで、表へ引きずり出すものなのです。

























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