「この人の気持ち、なんとなくわかる」は本当だった

「言葉にしなくても、なんとなく今夜の相手が安心しているか、気持ちが乗っているかはわかる」 パートナーとの関係が長くなると、そう感じたことのある方は少なくないのではないでしょうか?
ベッドの上で相手の表情がふっと柔らかくなったとき、あるいは逆に、返事はしているのにどこか体がこわばっているとき――そういう微妙なサインを、私たちは日常のなかで無意識に読み取っています。
しかし心理学の世界では、長いあいだ正反対のことが信じられてきました。
「性的誤コミュニケーション理論」と呼ばれる考え方です。
この理論は、セックスに至るまでの相手の合図はしばしば曖昧で、誤解されやすいものであり、特に男性は女性の関心を実際以上に高く見積もりやすい、と主張していました。
背景にあるのは「男性がセックスを主導し、女性がそれを受け入れるか断るかを決める」という考え方です。
誘いかける場面で、男性が積極的に「OK」を読み取ろうとするあまり、空振りしてしまう——というストーリーが広く受け入れられていたのです。
つまり「人はセックスに至るまでの相手の合図を読み違えやすいらしい」ということでした。
しかし、この通説には大きな穴がありました。
検証のほとんどが「架空のシナリオ」や「初対面の相手」を使った実験だったのです。
映像を見せて「この人は性的に関心があると思いますか?」と聞くような設計です。
実際に付き合っているカップルが、現実のセックスの場面でパートナーの気持ちをどう感じ取っているかは、ほとんど調べられていませんでした。
いわばベッドの外(事前のシーン)とベッドの中(最中のシーン)の間に、橋渡しがなかったのです。
そこで今回の研究チームは、「本物のカップルで答え合わせをする」という直球の方法に出ました。
しかも測ろうとしたのは、「セックスに至る前の駆け引き」ではなく、「セックスが始まってからの、相手の感覚の読み取り合い」のほうでした。
パートナー同士がそれぞれ別々に「自分がどう感じたか」と「相手はどう感じていたと思うか」を報告し、両者を突き合わせることで、認識のズレを正確に測ろうとしたのです。



















































