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クチバシを失ったオウム、独自の戦法を編み出し、王者となる / Credit:Alexander A. Grabham(University of Canterbury)et al., Current Biology(2026), CC BY 4.0
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クチバシを失ったオウム、群れで全勝の”絶対王者”となる (2/2)

2026.04.23 20:00:19 Thursday

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障害を「弱点」ではなく「武器」に変えた

通常ミヤマオウムは、クチバシで上から噛みつくような攻撃をよく使います。

ところがブルースは上クチバシがないため、そのやり方ができません。

代わりに彼が使っていたのは、下クチバシを前方へ突き出す独特の攻撃でした。

ブルースは近距離では首をぐっと伸ばして突き、距離があるときには走ったり跳んだりして勢いをつけて相手にぶつけます。

この攻撃の方向は他のミヤマオウムとはかなり違っており、普通の個体があまり狙わない部位にも当たっていました。

しかも、この突き攻撃は73%という高い確率で相手をその場から押しのけており、少なくともブルースにとっては強力な武器になっていたようです。

つまりブルースは、失ったクチバシをただ補おうとしたのではありません。

むしろその欠損を利用し、他の個体には真似しにくい新しい戦法を生み出していたのです。

この優位は争いの場だけに限りませんでした。

ブルースは餌場にも真っ先に現れやすく、食べている最中に他個体から挑まれることもありませんでした。

さらに、非つがいの個体からづくろいを受けた唯一の個体でもありました。

しかもその相手には下位個体が多く、これは群れの中でブルースが特別な立場にあったことを示しています。

これまで動物の世界では、障害があれば不利になるという見方が強くありました。

もちろん多くの場合、それは正しいでしょう。

しかし今回のブルースは、その前提がいつでも当てはまるわけではないことをはっきり示しました。

体の条件そのものよりも、どう行動するかが結果を大きく変えることがあるのです。

しかも重要なのは、ブルースが他個体との同盟に頼らず、自分ひとりの行動の工夫でアルファオスになっていた点です。

今後は、こうした事例が動物の行動の柔軟さや、障害をどう捉えるべきかを考える上で大きな手がかりになるかもしれません。

ブルースの姿は、弱点と思われていたものが、見方を変えれば新しい強さにもなりうることを教えてくれます。

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