「食べたタンパク質」を壊さず数か月使うという異常現象
通常、生き物が食べたタンパク質は胃や腸で分解されます。
焼き魚を食べても自分の体が魚になるわけではなく、食べたものはいったん細かく分解されてから、自分の体の材料として作り直されます。
つまり、生物学では「食べたタンパク質は、そのまま機能しない」が常識です。
ところがキンメモドキは、この原則から外れていました。
この魚は、ウミホタル由来のルシフェラーゼを壊さずに体内へ取り込み、しかも数か月という長期間にわたって機能を維持したまま発光器官に蓄積していたのです。
普通の動物が食べ物をいったん部品に分解して材料として使うのに対し、キンメモドキは発光に必要な“完成品の部品”を壊さず運び込み、そのまま使っているようなものです。
今後の大きな課題は、キンメモドキがどうやって発光酵素を消化から守り、発光器官まで運んでいるのかを明らかにすることです。
さらに、この研究は医療応用への期待も集めています。
現在、インスリンや抗体医薬といったタンパク質製剤は、口から飲むと分解されてしまうため、注射で投与する必要があります。
しかし、この仕組みが将来詳しく分かれば、タンパク質製剤を飲み薬として届ける技術のヒントになる可能性もあります。
海の小さな魚が見せた“能力を盗む”という奇妙な戦略は、将来の医療技術まで変えてしまうヒントになるのかもしれません。



























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