1990年から総数は95.5%増加
今回の研究で特に注目されるのは、1990年から2023年までの変化です。
1990年に精神疾患を抱えていた人は、世界で推定5億9900万人でした。
それに対し、2023年には11億7000万人に達しており、総数としては95.5%増加しています。
ただし、ここで注意が必要です。
この95.5%という数字は、精神疾患を抱える人の「総数」の増加を示したものです。
世界人口の増加や年齢構成の変化も影響しているため、「精神疾患になる割合そのものが95.5%増えた」と読むのは正確ではありません。
年齢構成の違いを調整した有病率では、1990年から2023年にかけて24.2%の増加と推定されています。
それでも、これは決して小さな変化ではありません。
不安症、うつ病、気分変調症、神経性やせ症、神経性過食症、統合失調症、素行症などでは、年齢調整後の有病率でも目立った増加が見られました。
特に不安症とうつ病の増加は大きく、チームは新型コロナウイルス感染症のパンデミックがメンタルヘルスに悪影響を与えた可能性にも触れています。
ただし、この研究は「パンデミックが直接原因である」と断定したものではありません。
多くの国で、感染不安、孤立、経済的ストレス、学校や仕事の中断などが重なったことを踏まえると、パンデミック期の経験が心の健康に影響した可能性は十分に考えられる、という位置づけです。
今回の研究は、精神疾患が「気の持ちよう」や「一時的な落ち込み」では片づけられない、巨大な公衆衛生上の課題であることを示しています。
世界で11億7000万人という数字は、あまりに大きく、遠い話のようにも感じられます。
しかし100人に14人という見方をすれば、それは教室や職場、家族や友人関係の中にも普通に存在する問題です。
心の不調を特別な例外として扱うのではなく、早く気づき、支え、治療につなげる社会の仕組みが、これからますます重要になるのです。


























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