失敗したペンギンは、仲間の経験を利用していた
研究チームは、ペンギンの餌場選びに関わる情報源を大きく2つに分けました。
一つは、自分が前回の採餌で利用した場所という「個人的な経験」です。
もう一つは、同じタイミングでコロニーを出発した仲間が、前回利用していた場所という「社会的情報」です。
解析の結果、多くのペンギンは前回うまく利用した場所を再び訪れる傾向がありました。
これは、アデリーペンギンが自分自身の経験を重要な判断材料としていることを示しています。
しかし一方で、一部のケースでは、自分の過去の行動だけではなく、一緒に出発した仲間が以前利用していた場所を考慮した方が、その後の行き先をうまく説明できました。
重要なのは、この効果が「同じコロニーにいる仲間全体」ではなく、「実際に同じタイミングで出発した仲間」で特に見られたことです。
研究チームが解析上で仲間を無関係な別個体に置き換えると、この傾向は弱まりました。
このことから、単に同じコロニーで暮らしているだけではなく、一緒に海へ向かって移動することが、餌場に関する情報を得る機会になっている可能性があります。
さらに研究チームは、潜水深度の記録から、それぞれの採餌行動がどの程度成功していたかを推定しました。
すると、前回の採餌があまりうまくいかなかった個体ほど、自分が以前利用した場所へのこだわりが弱くなり、仲間の情報を参考にする傾向が見られました。
これは「成功したら同じ場所を使い続け、失敗したら別の選択肢を試す」という行動戦略に近いものです。
そして採餌に失敗した個体では、同時に出発した仲間の過去の餌場情報によって、次の行き先が説明されやすくなることが示されました。
つまり、採餌に失敗した個体は、仲間と一緒に出発して移動する中で、その仲間が以前使った餌場の情報にアクセスしていた可能性があるのです。
集団生活には競争や感染リスクがありますが、仲間の行動から餌場の情報を得られるなら、それは厳しい環境で生きるための助けになりうるでしょう。
まずは自分の経験を使い、うまくいかなければ仲間の経験にも頼る。
南極のペンギンたちは、かわいらしい群れの中で、意外なほど柔軟な情報戦略を使っていたのかもしれません。






























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