水生生物から陸上生物への移行には、両生類のような変態は必要なかった
水生生物から陸上生物への移行には、両生類のような変態は必要なかった / Illustration by Berit Goding.
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水生生物から陸上生物への移行には、両生類のような変態は必要なかった (2/4)

2026.06.19 23:45:39 Friday

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赤ちゃんの化石が語った、決定的な証拠

赤ちゃんの化石が語った、決定的な証拠
赤ちゃんの化石が語った、決定的な証拠 / Credit:Arjan Mann

では、この赤ちゃんの化石は、いったい何を語っていたのでしょうか。

もし教科書の仮説が正しいなら——つまり、初期の四足動物がカエルやサンショウウオのように育ったのなら——この赤ちゃんの体には、ある特徴が残っているはずでした。サンショウウオの幼生がもつ、外鰓(がいさい)です。

外鰓とは、頭の横からふさふさと突き出た、羽根のような形のエラのこと。

水中で息をするための器官で、サンショウウオ型の水生幼生によく見られ、変態のときに体へと吸収されていきます(外鰓そのものが肺に変わるわけではなく、入れ替わるように肺が呼吸を担っていきます)。

いわば外鰓は、「オタマジャクシ的な子ども時代を過ごした証拠」として化石に残るはずの、わかりやすい目印なのです。

ところが——。

エンボロメアの赤ちゃんの化石に、外鰓の痕跡は、まったくありませんでした。

さらに頭の骨には、成体と共通する重要な骨が、孵化してまもないのに少しずつ骨へと変わりはじめていました。

お腹には、卵の中で蓄えていた栄養(卵黄)がたっぷり残っていて、これは餌を食べはじめる前の、本当に生まれたての個体である証拠です。

さらにこの赤ちゃんには、小さな前足も備わっていました。

劇的な作り替え(変態)の痕跡はどこにもなく、生まれたときから成体と共通する設計を、少しずつ完成させながら育っていた過程が取れたのです。

これが、変態を経ない育ち方(直接発生)を支える証拠でした。

とはいえ、エンボロメアだけの結果では、「たまたまこの種が特殊だっただけでは?」と言われかねません。

そこで研究者たちは同じ時代・同じ場所に生きていた、別の2グループの動物の赤ちゃんも調べたのです。

しかもこの3グループは、魚に近いもの、足を持つもの、いったん得た足を失ったものと、「水から陸へ」の道のりのさまざまな段階を代表する、いわばバラバラの顔ぶれでした。

結果は、どれも同じ。

一時的な幼生の器官はなく、変態を経た形跡もまったく見あたりません。

パルド氏は「魚から四足動物への進化の道のりにおいて、さまざまな系統を代表する多くの種を調べましたが、そのどれもが、オタマジャクシに少しでも似た特徴を持っていませんでした。オタマジャクシがいなければ、変態もありません」とべています。

こうして、証拠はそろいました。鰭(ヒレ)から四肢への移行をまたぐ初期の四足動物たちは、オタマジャクシのような一時的な幼生期も、劇的な変態も経ていなかった。

卵から出たときには、すでに成体と共通する体の設計を備えて、生まれていたのです。

次ページ水生動物はオタマジャクシにならずに陸上に進出した可能性がある

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