では、何が私たちを陸へ運んだのか

変態という”魔法”がなかったのなら、いったい何が、生き物を水から陸へと押し上げたのでしょうか。
実は、ここにも今回の研究の、もうひとつの手がかりがありました。
あのエンボロメアの赤ちゃんは、たしかに足を持っていましたが、その足はまだ小さく、支える肩まわりの骨も固まりきっていませんでした。生まれてしばらくは、しっかり歩ける体ではなかったのです。
そのため研究者たちは、自由に泳ぎはじめた幼体でも四肢がまだ未発達だったことを踏まえると、本格的に陸へ進出するには、まず足の発達を”前倒し”にすること、つまり赤ちゃんの時期から脚を作ることが、欠かせない条件だったのではないか、と。
そして論文では、もうひとつの条件にも触れています。
それは、口まわりの作り替えです。
水の中で獲物を吸い込んで食べていたしくみを、陸の上で食べ物を扱えるように、口や首ごと変えていくこと。
歯やあご、唾液を出すしくみを整えること。そうした地道な改良の積み重ねこそが、上陸の本当の鍵だったのかもしれません。
変態こそが、水から陸への橋渡しだった――という長く語られてきたその物語について、パルド氏は「その説は、もう通用しません。まるで、風に舞う塵のように消えてしまったのです」と述べています。
幹四足動物が、いつ、どこで、どうやって、より陸に適した姿になっていったのか——その全貌は、まだ分かっていません。
けれど、爬虫類や哺乳類へとつながる幹の系統で、両生類のような変態が”もともとの育ち方”ではなかったらしいとわかったことは、上陸の物語を解き明かすうえで、大きな一歩になります。
鰭から四肢への移行をまたいだ初期の四足動物たちは、オタマジャクシではありませんでした。
遠い時代の小さな赤ちゃんと私たちは、その”育ち方”のいちばん古いかたちで、つながっているのかもしれません。






























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