殺人者の脳に「感情のブレーキ」の違いはあるのか
犯罪行動を脳だけで説明することはできません。
しかし、人が暴力を思いとどまるとき、脳の感情処理や意思決定の仕組みが関わっていることも確かです。
研究チームが注目したのは、脳の奥深くにある「扁桃体」と、目の上あたりに位置する「眼窩前頭皮質」です。
扁桃体は恐怖や危険の学習、情動反応に関わる領域であり、眼窩前頭皮質は行動の結果や罰、報酬を判断する領域とされています。
研究対象となったのは、中国・江蘇省の参加者87名です。
そのうち37名は殺人で司法精神鑑定を受けていた公判前の被拘禁者で、残る50名は同じ地域の非暴力対照群でした。
なお、殺人者群に統合失調症の診断を持つ人が多かったため、対照群にも非暴力の統合失調症患者が含められ、この影響は統計的に調整されています。
データは2002〜2003年に収集されたものですが、公判前殺人者を対象にした構造MRI研究としては、現在でも非常に珍しい資料です。
研究では全員に構造MRIを行い、外側・内側眼窩前頭皮質と、左右の扁桃体の体積を調べました。
また、司法精神科医はPCL-Rという尺度でサイコパシー傾向を評価し、殺人者については警察記録や家族の報告も踏まえて、犯行がどれほど計画的だったかを4段階で評価しました。
その結果、殺人者群では対照群と比べて、外側眼窩前頭皮質の体積が4.9%小さく、扁桃体の体積も5.9%小さいことが分かりました。
一方で、内側眼窩前頭皮質には有意な差はありませんでした。
では、この脳の違いは、殺人の「計画性」とどのように関係していたのでしょうか。



























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